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不知夜月とJardin de ciel(空の庭)のコラボ頁です。

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† 闇に咲く悦楽の閨 第3章 6幕 †

友の身の安全を確信できる言葉はジークから得られなかった。一方のエドリックは記憶の欠落には気が付いているものの、それがニコルと関連している事を知る由もない。手がかりを探そうと焦るエドリックを見つめながら、二人の恋の再開を託されたジョフロアの心は揺れていく。

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Drama

ナレーター
  • by
  • 2009-04-24 12:26
  • edit
窓辺の闇が揺れた。月のない星降る夜に溶けて、親友を思う翠の瞳が眠っているエドリックを見つめていた。流れる金髪が掛かる手の中には銀の犬笛が光って見える。

四日前のあの夜から、ジョフロアは毎晩友に呼び出されていた。その行動がエドリックの困惑ぶりを伝えている。ただ朝起きた時にジョフロアが居て、机の上に最近使っていなかった犬笛があった。それだけを手掛かりにして、彼は同じ事を繰り返した。あの夜に何があったのかを知っているジョフロアには、彼が問いたい事が分かる。だがエドリックには何をどう問うたら良いのかさえ霧の中だ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-24 12:28
  • edit
…ごめん、今日も呼んでいたんだね
ナレーター
  • by
  • 2009-04-24 12:29
  • edit
するりと窓を抜けて、友のベッドの枕元に腰かけたジョフロアが囁きかけた。ジークとの地底湖での会見の後、ジョフロアは暫く悶々としたまま森を彷徨っていた。エドリックとニコルの恋を再開させて後悔しないのか。その扉を開ける鍵を握らされてしまった荷の重さは計り知れない。

ジョフロアはエドリックが人狼になると言って聞かなかった夜を思い出した。あの夜、君は明るい太陽の下が似合うと一晩かけて諭した。種は違ってもずっと親友だと誓い合った。そのエドリックが闇の生き物になるかもしれない。ジークが危険性を教えてくれない以上、その懸念は拭い去れなかった。もし彼が徐々に変化を遂げたり、命を削られていくのだとしたら…。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-24 12:29
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そうしたら、僕はニコルを恨んでしまう…
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-24 18:15
  • edit
もちろんニコルの気持ちも分からないではない。朝のダイニングルームで見た彼の哀しげな瞳も、ゴンドラの中で見た儚げな横顔も、忘却現象が残す爪痕の痛々しさと残酷さを十分に伝えてくるものだった。

ジョフロアは肘をついてエドリックの隣に身を横たえ、見事な金髪をそっと撫でた。英国に居た頃、よくこんな光景があった。寄宿学校に行っていたエドリックは、休暇で帰ってくると必ずジョフロアを自分の屋敷に滞在させた。昼間は彼の領地を駆け廻り、エドリックの部屋で夜更かしして、同じベッドで丸くなった。彼の両親にも暖かく迎えられ、兄弟のように近しく、犬ころのようにじゃれ合った仲。エドリックの留学が決まっても、ジョフロアが同じ留学先で全面的な奨学金を得られるように手続きをしたのは彼だった。そうやって、晴れて遠い日本の地で同じ学校で学ぶ事になったのだ。それなのに、今違う道を歩もうとしている。
エドリック
  • by z
  • 2009-04-24 18:16
  • edit
…来てくれたのか、ジョフ
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-24 18:16
  • edit
先に言葉がかかって、エドリックの真っ青な瞳が開かれた。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-24 18:17
  • edit
ああ、君が気になってね…
エドリック
  • by z
  • 2009-04-24 18:17
  • edit
さすが親友だ。こうして君も側に居て、私は今青春を謳歌している。とても満足だ。…満足な筈なんだが…何か忘れ物をした気がしてならない
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-24 18:18
  • edit
絶えず何かを求めて突き進むのが君だろう? 満足してしまうなんて君らしくないよ
エドリック
  • by z
  • 2009-04-24 18:18
  • edit
…そうだな。君の言う事は確かにいつも正論だ
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-24 18:18
  • edit
エドリックは少し顔をしかめて、身体の向きを変えた。
エドリック
  • by z
  • 2009-04-24 18:19
  • edit
でも、いけすかない正論なんて糞喰らえだ。君はいつもそうやって私を言いくるめる。その割に自分だけで苦しんでいたりする。もっと君の想いを分けてくれ。私だって男だ。いつまでも君に守られてばかり居たくない
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-24 18:19
  • edit
ごめん、エディ。でも、僕は君が大切なんだ…。さあ、もう寝よう。僕もここで一緒に寝るから…
エドリック
  • by z
  • 2009-04-24 18:19
  • edit
ありがとう。でも、過保護でつれない一匹狼だな…
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-24 18:20
  • edit
ジョフロアは黙って微笑んだ。エドリックももう何も言わなかった。毛布をずらし、ジョフロアのためのスペースを空けると、身体を丸める。ジョフロアは服を脱ぐとその中に滑り込んだ。二人で白んできた窓の外を見つめ、想いは幼い日々の空を翔る。そして、どちらともなく手を繋ぐと、暫しの優しい眠りに落ちていった。
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:19
  • edit
清々しい朝の香が寮の裏手の森から立ち昇り、眩しい朝日が二人の眠るベッドに裾に差し込んでいた。目覚めのいいエドリックが飛び起きるベッドの揺れで、ジョフロアが眠たげな目を開くのも幼い頃からの常だ。手短にシャワーを浴びてきちんとプレスされたシャツに袖を通し、エドリックが洒落たアスコットタイを結ぶ頃、ジョフロアは漸くベッドを抜け出した。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-25 17:19
  • edit
じゃあ、ダイニングルームで
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:20
  • edit
そう言って、ジョフロアはバルコニーから隣の自室へと戻った。あの夜以降、もう三日同じことが続いている。エドリックは何も問わない。だが、奇妙な記憶の欠落に気が付いているようだった。時々虚空を見つめる瞳がそれを物語っていた。なんらかの重大な意味を持つという事も少しずつ感じているに違いない。それほど彼は同じことを繰り返す事に拘りを見せた。
エドリック
  • by
  • 2009-04-25 17:21
  • edit
ニコルの姿が見えないな
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:22
  • edit
あの朝に彼らが言葉を交わして以来、ダイニングルームに来て言うその台詞も今日で三回目だった。記憶の欠落とニコルとの関係を結ぶ記憶自体を、彼は失っている。かろうじてそれを言わせるのは彼の想いだけなのだろう。だからジョフロアは、この後に答えを継げない。最初はニコル自身からの言葉を待つために本人の出現を待った。だが現れず、ニコルの現状を知った今となっては、余計に言うのが躊躇われた。ジークからの答えを引き出さなかったが故に、それが本当に親友の幸せに繋がるのか、自信が持てない。
エドリック
  • by
  • 2009-04-25 17:24
  • edit
…私は確かに談話室にニコルを探しに行き、そのあと階段を駆け上ったんだ…
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:24
  • edit
ここ数日、その言葉を何度心の中で反芻したか分からない。エドリックはジョフロアの前でやっとそれを口にした。
エドリック
  • by
  • 2009-04-25 17:24
  • edit
あくる日の朝、このダイニングでニコルに会うまでの事がほとんど思い出せない。その代り不思議な幸福感だけはあった。酒を飲んだとも思えない。私は浮かれ病か? …それとも、これはニコルが姿を見せない事と関係があるのか?
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-25 17:25
  • edit
確かに姿を見せないね。アレクにでも様子を聞いてみたらどうだい?
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:26
  • edit
飲み物を運んできた給仕に優しげな笑み返しながら、ジョフロアはニコルの居場所を知らないはずのアレクに話題を振って話を逸らそうとした。だが、エドリックの瞳がゆっくりと怪訝そうに細められる。彼はジョフロアの言葉を聞き逃さなかった。
エドリック
  • by
  • 2009-04-25 17:28
  • edit
それは無理だな、ジョフ。昨日フレイがアレクの頼みでニコルを探しまわっていた事くらい私は知っている。生徒会の情報網を甘く見ないでくれ。目立つフレイの行動を誰も見ていない筈がない。…そして私が問えば、学生達は何でも答えてくれる
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:29
  • edit
カルチェラタン・ティーを飲みながら、エドリックの氷河のような青い瞳が悪戯っぽく笑んで、軽くウインクする。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-25 17:40
  • edit
…そうだったね。君とフレイは学園の双璧だ。一度口を開けば、情報は向こうから降ってくるね
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:42
  • edit
苦笑いしながら降参したように両手を上げたジョフロアに、エドリックはさらに突っ込んだ。
エドリック
  • by
  • 2009-04-25 17:47
  • edit
実は、その途中でフレイが君と話をしていたという事も知っているんだ。君はフレイからニコルの捜索を頼まれたんだろう? …で、探したのか? 探したのなら、警察犬並の嗅覚の君が居場所を突き止めていない筈がない。…だが、それよりも。興味深いのは君が嘘をついた事だ
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:47
  • edit
目の前に並んだイングリッシュ・ブレックファーストを満足そうに見渡したエドリックは、ポリッジにシロップをかける。
エドリック
  • by
  • 2009-04-25 17:49
  • edit
君は自分の為に嘘はつかない。君が嘘をつく時は、誰かを守りたい時だけだ。…つまり、ニコルの居場所を見つけたんじゃないのか? で、守りたいのは誰だい? ニコルか? それとも私か?
ナレーター
  • by
  • 2009-04-25 17:50
  • edit
いままで何ひとつ問わなかったエドリックが、ジョフロアの小さな嘘をきっかけにたたみかけてきた。長年の付き合いだからこその鋭い勘だ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-26 17:32
  • edit
……。どちらも…と言いたいが…主に君だよ。君が大切だからだ
ナレーター
  • by
  • 2009-04-26 17:32
  • edit
ジョフロアは長い溜め息をついてから、そう白状した。皿の上にある焼きトマトにフォークを突き刺したままで、複雑な色を湛えた瞳がエドリックをじっと見つめる。
エドリック
  • by
  • 2009-04-26 17:32
  • edit
…昨夜も君は同じことを言ったな。私が何かを忘れてしまっている事と、君が私の身を守ろうとしている事は、何か関係があるのか?
ナレーター
  • by
  • 2009-04-26 17:33
  • edit
エドリックのパズルのパーツは既に揃っていた。後は並び変えるための意味や理由を探しているように思われる。再びエドリックの瞳がジョフロアを離れて遠くの空を見つめた。記憶を手繰り寄せようとする虚しい努力の末に、またあの名前を口にする。
エドリック
  • by
  • 2009-04-26 17:33
  • edit
ニコルがこの空隙を埋めてくるような気がする。…それに、私は彼を無性に守りたい。この手で…。私を守りたいと言った君なら分かってくれるだろう? ニコルも私の大切な…
ナレーター
  • by
  • 2009-04-26 17:33
  • edit
恋人だ。と、言い切れないでエドリックは口をつぐんだ。身体を重ねて誓い合った記憶が彼にはない。だが、肝心な記憶がないだけで、彼の本能は既に勘付いているに違いない。
エドリック
  • by
  • 2009-04-26 17:34
  • edit
ねえ、ジョフ。私は危険に晒されているのか? だけど、そんなものはノブレス・オブリージュだ。高貴な志を貫く者に代償はつきものさ。私は根っからの貴族だ。なにものにも怯む事はない
ナレーター
  • by
  • 2009-04-26 17:34
  • edit
自らを騎士と称し、その血統も行動もナイトを具現化したようなエドリックの言葉は、決して大袈裟ではなかった。その事はジョフロアが一番良く知っている。
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-30 15:55
  • edit
緊迫した二人の間の空気に、すっと冷たい朝の風が緩やかに吹いた。バルコニーに続く広いガラスの扉。そこから金色の光が差し込む。そう見えたのは朝日をはじいた金髪だった。目当ての人物を見つけたのか、両開きの窓を開け、フレイが外から半身を乗り出す。そして二人の間に位置していたデザートの皿からリンゴをひと欠片失敬すると口の中に放り込んだ。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-30 15:56
  • edit
おはよう、お二人さん。…昨日の夢見が悪かったのかい? エドリック。君の瞳の青が美しいほど険しく見えるけど…?
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-30 15:57
  • edit
金色の細い窓枠に両肘を置いて、フレイがどこか暢気そうに鋭く突いてくる。宥めるように微笑むと風を含んだ金髪がふわふわと揺れた。朝にはあまり姿を現さないフレイの出現に、二人を通り越して周りから学生達の視線が集まった。
エドリック
  • by z
  • 2009-04-30 15:57
  • edit
おはよう。…夢見か。夢さえ記憶にないんだ。良い夢を見たはずなのに、全く覚えていないのさ。…ところで君は朝帰りかい?
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-30 15:58
  • edit
エドリックは瞳と同じ色の空を見上げてから、気だるそうに微笑んだ。ふと指がフレイの耳のあたりに伸びて、その金髪を一房持ち上げる。同様にフレイの両耳を覗きこんでから、エドリックの指が、フレイのレースの袖口に絡まっていた小さなものを器用に外した。
エドリック
  • by z
  • 2009-04-30 15:59
  • edit
愛し合った名残りのピアスが、君の袖に光っていたよ。君の物じゃないみたいだから、きっと幸運な相手のだろう?
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-30 23:20
  • edit
フレイは少々意外そうに、差し出されたピアスを受け取り手の平で転がした。ドロップ型の飾り。プラチナの持つ重厚な銀色が朝日を滲ませる。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-30 23:21
  • edit
ありがとう。こんなに聡い君なのに、自分の幸運な夢を憶えていないって? …何だか、銀色の涙のようだね、これ
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-30 23:21
  • edit
二人の前でゆらゆらと揺れる小さな銀色にフレイは微笑んだ。別れを惜しむように袖に涙を絡ませた相手に、きっと覚えがあるのだろう。それを大事そうに胸ポケットにしまうと、彼はジョフロアに向かって顔を傾けた。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-30 23:22
  • edit
ところで、ジョフロア。私の銀色の探しもののことなのだけれど…やっぱり見あたらなかったかい?
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-30 23:22
  • edit
昨日の今日だ。銀色の探し物がニコルの事だとジョフロアは直ぐに察した。そして、フレイがエドリックの事情を知らない以上、この会話にニコルの名前が挙がるのは時間の問題だという事も。ジョフロアは即答に困って口ごもる。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-30 23:23
  • edit
…フレイ、昨日はどうも。あの…
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-30 23:24
  • edit
そこへ、ジョフロアの顔をじっと見つめていたエドリックが割って入った。
エドリック
  • by z
  • 2009-04-30 23:25
  • edit
…ジョフに探し物の依頼でもしたのかい、フレイ? 奇遇だな。私も銀色の宝物を探していてね。銀のパンドラの箱だ。開ければ危険と破滅と陶酔が舞い出る
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-30 23:26
  • edit
天を仰いで唇を噛んだジョフロアの手の上に、エドリックの手がそっと重ねられる。
エドリック
  • by z
  • 2009-04-30 23:26
  • edit
ジョフ、観念しろ。運命は流れる方向にしか行かない。…フレイの質問にきちんと答えてあげたらどうだ?
ナレーター
  • by z
  • 2009-05-01 19:59
  • edit
額に手を当てて俯いたジョフロアは、大きく溜め息をついた。覚悟を決めているようにさえ聞こえるエドリックの物言い。真剣な瞳。隠しているだけでは、もはやエドリックを止められそうになかった。状況を明かした上で次の手立てを考えるしかない。ジョフロアは覚悟を決めた。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-05-01 20:00
  • edit
…見つけましたよ、フレイ。彼は地下洞窟です。状況は少々複雑で、アレクの伝言は伝えられなかったけど、ジークが側に居るから今のところ彼の身は安全です
フレイ
  • by t
  • 2009-05-01 20:00
  • edit
そうか…
ナレーター
  • by t
  • 2009-05-01 20:00
  • edit
ふっと安堵の息を吐いたフレイが、ほんの少しの沈黙の後にエドリックに微笑んで呟いた。
フレイ
  • by t
  • 2009-05-01 20:01
  • edit
どうやら同じものを探しているのかな? エドリック。…なるほどね、パンドラの箱か…。それが見つからなくて、君の瞳はそんなに切なげで揺れているのか
ナレーター
  • by t
  • 2009-05-01 20:01
  • edit
地下に洞窟があろうとヴァンパイア達がどういう状況だろうとフレイはそれほど気に留めはしなかった。彼が驚いたのはエドリックが語る言葉が恋の苦悩に満ちていたことだった。
エドリック
  • by z
  • 2009-05-01 20:32
  • edit
切なげに見えるかい、フレイ。まるで身を切られるようさ。実際、私は頭を切られてしまった蛇だ。身体は何かに突き動かされて前に進みたがるのに、導くものを失って、どこへ進んだらいいのか皆目分からない
ナレーター
  • by z
  • 2009-05-01 20:32
  • edit
エドリックは重ねていたジョフロアの手を取って、その甲にくちづけた。立ち上がってフレイにも頬を寄せる。
エドリック
  • by z
  • 2009-05-01 20:40
  • edit
だが、君が現われてくれたことでジョフも観念したようだ。お礼を言うよ、フレイ
フレイ
  • by
  • 2009-05-01 20:40
  • edit
たまには君の役に立ててよかったよ。…それで、君は行くのかい? パンドラの箱を開けに…
エドリック
  • by z
  • 2009-05-01 23:44
  • edit
…もう開けてしまったかもしれないんだ。私はすでに彼に心酔しているし、危険はジョフが示唆してくれた。…ねえ、フレイ。パンドラの箱のものが世の中に飛び出ていった後に、箱の中にたった一つ残ったものについては諸説あるけれど、私は“予兆”だと思う
ナレーター
  • by z
  • 2009-05-01 23:45
  • edit
エドリックの瞳がまた空を見上げた。永遠の中にその欠片を探すように虚しく視線が彷徨う。
エドリック
  • by z
  • 2009-05-01 23:46
  • edit
未来に起こる事が全て分かってしまったら、面白くないよ。予知能力を持たないが故に、人は無駄な努力を強いられ、最悪の結果に直面する事もある。でも、素晴らしい未来が待っている事もあるからこそ、希望が持てる。…私はこれから起こる結果なんて知らなくていいし、恐れていない。進む事にこそ意義があるんだ。そこへ至る道で、自分自身の誠実を貫いてさえいれば、それでいい
ナレーター
  • by z
  • 2009-05-01 23:46
  • edit
言葉はフレイへのものだったが、エドリックが最後に視線を向けた先はジョフロアだった。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-05-01 23:47
  • edit
……。エディ、わかったよ。君をニコルの元へ連れて行く
ナレーター
  • by z
  • 2009-05-01 23:47
  • edit
エドリックの言葉の一つ一つを全て自分に置き換える事もできる。想いは自分と同じだった。ジョフロアははっきりと覚悟を決めた。そういえば、自分もジークに似たような事を言った気がした。なのに、ことエドリックに関しては心配で仕方がない。親友に過保護だと詰られる所以だ。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-05-01 23:48
  • edit
…フレイ。これから僕たちはニコルの所に行きます。アレクの伝言以外に何か伝える事は?
フレイ
  • by t
  • 2009-05-01 23:49
  • edit
無事に戻るように、と。…ありがとう、ジョフロア。何だか結局、君に負わせてしまったみたいだね?
ナレーター
  • by t
  • 2009-05-01 23:50
  • edit
ジョフロアに真面目な表情で礼を言った後、フレイはエドリックに向き直って微笑んだ。
フレイ
  • by t
  • 2009-05-01 23:50
  • edit
蒼い騎士の血が輝くようだよ、エドリック。私が君に惚れこまないうちに行ってくれ。降り注ぐほどの幸運を祈る
ナレーター
  • by t
  • 2009-05-01 23:51
  • edit
エドリックの肩を引き寄せると、フレイは白い頬に親愛のキスを置いて耳元でそう告げた。細められた茶の瞳が嬉しそうに光を放つ。
エドリック
  • by z
  • 2009-05-01 23:51
  • edit
すでに惚れ込んでるくせに、何を今更。…だが、ありがとうフレイ。幸運を呼び込んでやるさ、彼の為に。…銀の髪の…私のニコル…
ナレーター
  • by z
  • 2009-05-01 23:52
  • edit
フレイの祝福に笑んでいた瞳が、その名を口にした途端に真剣な光を宿す。エドリックはフレイに向かって上首尾を約束するように親指を立てた。上着を掴んで立ち上がると、ジョフロアに目配せして大股で歩き出す。気持ちが逸るのか一刻も無駄にしたくないような足取りだった。テーブルの間をすり抜けながら、もう一度振り返って手を振るエドリックとジョフロアの姿にフレイは笑みで応えた。生徒たちのざわめき。清々しい朝の光。いつもと変わらない優しい光景の中で、新しい朝が始まった。

以下は、ドラマ執筆管理人の書き込み専用です。

他者様の書き込みがあった場合は、予告なく削除させて頂きます。

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