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不知夜月とJardin de ciel(空の庭)のコラボ頁です。

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† 闇に咲く悦楽の閨 第3章 5幕 †

人間との共存の形を探ぐりつつ長い年月を生きてきたジーク。親友の恋を託されたジョフロア。仲間を思う心は交差しても、それぞれの思惑は平行線を辿るしか術はない? けれど傷ついたアレクを癒すのは…。

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Drama

ジーク
  • by s
  • 2009-04-17 21:50
  • edit
....自戒?
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-17 21:52
  • edit
 地下水脈が流れ込む、透き通った清水をたたえる地下湖に浮かぶ一艘のゴンドラの中。二人の足元には動かない人物が一人、死んだ様に眠っている。長い豊かな黒髪を持つ翠の瞳の青年の問いかけに、同じ色の双眸と銀糸の髪という容貌の闇の主は艶然と微笑む。
ジーク
  • by s
  • 2009-04-17 21:52
  • edit
例えそうだとしても、それが何になる?
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-17 21:53
  • edit
確かに自戒は、自分が再びその事で傷つかないようにする術でもあります。ですが、いつまでもその時点の自分に留まる事でもあるような気がします。…僕も、人間など絶対に愛さないって自分に戒めをかけていたんですよ。でも、破ったら違う自分が見えてきました。
ナレーター
  • by
  • 2009-04-17 21:54
  • edit
ジョフロアは景虎と誓い合った、来世で結ばれる愛の形を思い浮かべていた。人間の姿のままで愛を確かめ合えない人狼の生理が、彼らの間にそんな約束を交わさせたのだ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-17 21:55
  • edit
卿? 貴方は愛する人の生まれ変わりに再会した事はありませんか? もしそうなら、貴方は明確な記憶を持ったままでその人に会えるわけです。…とても有利だと思うな
ジーク
  • by
  • 2009-04-17 21:56
  • edit
その戒めを破った証があの遠吠えか....おめでとう、ジョフロア。で、愛した人間の生まれ変わりと....では、もしその人物が君だと私が言ったなら、君は私を愛してくれるのかな?それが無理なら問うな。
ナレーター
  • by
  • 2009-04-17 21:57
  • edit
くっくっ、と短く喉で嗤って、闇の主は青年を見つめる。どこまでも平行線を辿る二人の会話。まるでそれを楽しんでいるかの様子。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-18 12:34
  • edit
愛には色んな形があるけれど、少なくとも僕は貴方が好きですよ、卿
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-18 12:35
  • edit
すげなくかわされてもジョフロアは引かない。澄んだ瞳で相手を見つめて、彼は思った事を率直に伝える。お世辞もない代わりに、卑屈にもならない。自然体で真っ直ぐな好奇心は詮索好きな香さえしなかった。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-18 12:37
  • edit
僕のあの遠吠えで貴方が目覚めたのだとしたら、僕の恋情のすべてを貴方は知っているのでしょうね。少し恥ずかしいな…
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-18 22:29
  • edit
俯いて顔を赤らめる。恋している事を隠そうとしない真っ直ぐな青さ。若い血液を送り出す心臓が早鐘を打ち、同時にジョフロアの肌から立ち昇る熱。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-18 22:30
  • edit
良かったら貴方の恋の話を聞かせて頂けませんか? しがない人狼が聞き手でも差し支えなければ…
ナレーター
  • by zst
  • 2009-04-18 22:31
  • edit
まっすぐに見つめる翠色の澄んだ瞳。自分もこんな情熱を持っていたのだろうか。あまりに遠い昔過ぎて、ジークの視線が虚空を透かして時の彼方へ翔けていく。見つめる先にどんな光景が描かれているのか。おそらく余人には計り知れない秘したジークの胸の内。すでに深夜と言うべき時刻。二人の間に漂う艶冶な空気。
ジーク
  • by s&t
  • 2009-04-18 22:35
  • edit
…ちょうど、君の様な…長い豊かな黒髪と…いや、やめておこう
ナレーター
  • by
  • 2009-04-19 00:11
  • edit
囁きはゆっくりと天蓋を思わせる湖の清廉な空間に静かに響いた。ジョフロアを通り越してジークが見ている誰かの面影。けれど彼が語ったのはそれだけだった。遠くを見つめていたジークの瞳の焦点が舞い戻りジョフロアの目をかすかに射る。
ジーク
  • by t
  • 2009-04-19 00:12
  • edit
…これ以上は、君が本気で私自身に逢いに来てくれたときにでも話そうか?
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-19 11:42
  • edit
ジークの目が、恐れを知らぬ侵入者の手ごたえを楽しむように細められる。けれど一瞬、深遠な気配をうかがわせた瞳は、これ以上踏み込むことへの警告をジョフロアに告げていた。高い代償だと口にしたジークの言葉が脳裏をかする。
ジョフロア
  • by t
  • 2009-04-19 11:45
  • edit
…そうですね…。僭越なことを…失礼しました
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-19 11:46
  • edit
ジョフロアはほんの少し悲しげに視線を俯かせたが、すぐに気を取り直したように微笑んだ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-19 11:48
  • edit
でも、僕の髪だけでも貴方の記憶の方と似ているなら…とても光栄です。…僕がここに来た本当の目的を申し上げないと…。エディに起こった忘却の事は先程の説明でわかりました。ですが、彼は強い幸福観に包まれているようでした。他の生徒にはそれが見られないように思います
ナレーター
  • by
  • 2009-04-19 11:49
  • edit
ジョフロアはひとつひとつの事柄を確かめるように口にした。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-19 11:49
  • edit
…さっき貴方が言った…悦楽の蝶の話…。愛情が伴うと派手に舞うとか。僕には難解過ぎて、よく分からなかったのですが…それが関係があるのでしょうか? もし、それに起因する忘却以外のマイナス点があれば伺いたいのです。僕の親友のためにも…
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-19 20:26
  • edit
青年の話す言葉を呆れる様に首を振り、それを遮る様に片手をあげる
ジーク
  • by s
  • 2009-04-19 20:27
  • edit
忘却を伴う我々の与える悦楽を「幸福と感じるか否か」は当の本人の問題だ。私の知った事ではない。それに付随するマイナスにしか目を向けれないのなら話はここで終わりだ。ただし、君が親友を想う気持ちを少しでも汲むとすれば、今すぐにでも彼をここに連れて来たらどうなんだい?たとえ、あの情事を忘れていたとしても、こんな風に眠ってしまったニコルを見れば、彼も何か感ずるものもあるだろう。結界は解いておく。私に出来る事と言えばそれくらいのものだよ。
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-19 20:28
  • edit
冷たい物言いの中に、ほんの僅かに垣間見えるジークの苛立ちとも、優しさとも取れる心情がジョフロアの胸をちりっ、と突く。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-19 20:30
  • edit
…エディの幸福感はきっとニコルの愛の所為でしょうね。それに、エディの忘却がニコルを苦しめているのだとしたら、僕は彼らの愛を応援したい。だって、エディの精神力と真っ直ぐさと言ったら、まるでラ・マンチャの男並みだから
ナレーター
  • by
  • 2009-04-19 20:31
  • edit
ジョフロアは友を思い出したのか、くすっと笑って言葉を継いだ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-19 20:32
  • edit
では限定して、健康面についてひとつだけ教えて下さい。精液の放出と血液の減少以外に、人間が受ける身体的負担は? それ以外に彼の身体を損なうような要素があれば、僕はニコルの元にエディを連れてくることはできません
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-20 07:55
  • edit
水面にゆらゆら揺れるゴンドラの律動に身を任せながら、銀髪翠眸の美貌の主は妖しく嗤う
ジーク
  • by s
  • 2009-04-20 07:56
  • edit
ふふ...魔女狩りの時代ならまだしも我々は現代に生きるヴァンパイアだ。人を殺して生き延びる時代はとうに終わったよ。君も人狼なら分かるだろ?ジョフロア。人間から搾取する体液は相手が死に至らない もしくは 負担にならない様 常に配慮している。それ位の気遣いは我々化け物でも持ち合わせているよ。ただし、それさえも人間からは「盗人」呼ばわりだ。ギブアンドテイクとまで言わないが、我々によってもたらされる快楽には誰も目を向けないのが現実だよ。
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-20 07:57
  • edit
友を思う真摯な青年の問いかけに、又も平然と皮肉を投げかける。しかし、その言葉の裏には どれだけの仲間の死が存在したのだろう。少なくとも何百年という時の狭間に人との共存を模索し続けたジークの言葉は重い。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-20 07:58
  • edit
…ええ、そうですね。僕ら人狼も似たようなものです
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 08:00
  • edit
自分の知りうる限りの歴史と、自分に実際に起こった過去を思い出して、ジョフロアは呟いた。忌み嫌われる身で人の世に順応するには、己を譲歩させる事で折り合いつける以外にない。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-20 08:02
  • edit
…わかりました。ですが、僕が一番知りたい事にははっきり答えてくれないわけですね。…でもエディとニコルの関係は、貴方の言う単なるギブアンドテイクのみではありません。おそらくもっと長期的な愛情関係になる筈です。だから、これだけは答えて下さい。ニコルは貴方が知りうるだけの身体的マイナス面を熟知していますか? 知っていれば、貴方の仰ったように愛するものに負担を掛けるような事はしないでしょう。あとはニコルを信じる事にします
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 08:03
  • edit
ジョフロアは答えを待つ間、相手の横顔を透かすように目を細めて眺めた。人を好きになるなとニコルに忠告したというジークが、エドリックをニコルの元へ連れて来いと言った事が不思議だった。一体何を考えているのだろう。驚くほど秘密を簡単に明かしたと思えば、ふわりと暈す。しかし、エドリックとニコルの愛の再開をきっかけを委ねられたジョフロアは、その未来を案ずるが故に確信が欲しかった。
ジーク
  • by
  • 2009-04-20 08:04
  • edit
身体的マイナス面だと?随分陳腐な質問をするね。君が友を想う気持ちもわからなくもないが、我々は現代社会において人を殺さない様 努めているだけで『危険な存在である』という事実は依然何も変わらない。
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 08:05
  • edit
恐らく君の欲しい答ではないだろうが、と表情一つ動かさず、そんな応えを口にする。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-20 19:39
  • edit
…陳腐…ですかね。僕も相当危険な生き物です。ですが、自分の危険性を知るために努力しました。僕の里親は人狼の研究機関の人間です。自分自身が実験台にもなりました。すべては自分の魔性を知るためです。だから僕は今暉堂と恋ができます。自分の危険性をきちんと知った上で配慮する事ができるからです。でも、いくら配慮したい気持ちがあっても、自分が愛する人に何をしでかすか分からなければ、僕なら恋を始める事などできません
ナレーター
  • by z
  • 2009-04-20 19:40
  • edit
恋人や親友の身を守りたい。傷一つだってつけたくない。たとえ自分の想いを犠牲にしようと、ジョフロアが一番大切にしている事はそれだった。それを陳腐と言われて、いつも穏やかったったジョフロアの視線が少し鋭くなる。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-04-20 19:40
  • edit
今、二人の愛の再開を委ねられているのは僕です。だから、ニコルが人間への身体的害を把握しているという事と、貴方が最初に仰った加減が可能だという事、この二つの答えが揃わないと、僕はエディを呼びに行かれません。決してあなた方の具体的な秘密を聞いているわけじゃないんです…。
ジーク
  • by
  • 2009-04-20 19:42
  • edit
君の判断に任せるよ。
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 19:43
  • edit
全く埒が明かないジークとの会話に、ジョフロアは天を仰いで大きく溜め息をついた。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-20 19:43
  • edit
貴方だってニコルを起こす事ができる筈なのに…。僕に再開の判断も結果の清濁も合わせ飲ませて、いったい何を期待しているんです? 責任上、僕に彼らの愛を見守れと? …冗談じゃない。それは貴方の役目でしょうに…
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 21:27
  • edit
向こうを向いたままのジークを見つめて、ジョフロアは諦めたように微笑んだ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-20 21:27
  • edit
…わかりました。僕が巻き込まれることをお望みなら、そのように努力しましょう。その代り、もしニコルが愛の道を歩み始めたら、人に及ぼす悪影響について貴方の知る限りのことを彼に伝えてあげて下さい
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 21:28
  • edit
ジークの返事は待たずに、ジョフロアはゴンドラの縁に足をかけた。流水によって岸から離れてしまった船体は、舫い綱で繋がれたまま地底湖の中央に漂っている。その舫いを引き寄せずにジョフロアの足がトンとデッキを蹴った。人狼の驚異的な跳躍力。一瞬闇に消えたその身体が宙を舞い、足音さえ立てずに向こう岸に降り立つ。
ジョフロア
  • by
  • 2009-04-20 21:29
  • edit
僕は貴方の自戒とやらに賭けてみる事にします。今度は、伝言でも友の為でもなく貴方に会いに来ますよ。では!
ナレーター
  • by
  • 2009-04-20 21:30
  • edit
答えを貰えない代わりに、否応なく相手にも期待を押しつけると、ジョフロアは身を翻して闇の中に消えた。
ナレーター
  • by
  • 2009-04-21 22:17
  • edit
カチャと小さな音をさせてドアを細めに開け、そっと隙間から顔を覗かせたフレイは動きを止めた。部屋の中央の椅子に陣取った景虎は肘当てに腕を乗せて拳で額を支えていた。うたた寝しているような格好なのに、目だけがはっきりと開いてフレイを睨んでいる。
景虎
  • by
  • 2009-04-21 22:18
  • edit
お早いお帰りだな…
ナレーター
  • by
  • 2009-04-21 22:19
  • edit
嫌味な低い声が険悪な気配を伴ってその場に流れる。フレイは慌てて手を振りながらそっと扉を開けた。外はようやく白々と明けかけている。鳥が泣き出すまで後しばらくはありそうだ。
フレイ
  • by
  • 2009-04-21 22:19
  • edit
や、景虎。様子は変わりないかい
ナレーター
  • by
  • 2009-04-21 22:20
  • edit
こちらも白々しい笑顔でフレイが返答すると景虎は立ち上がって足元も荒々しく相手に詰め寄った。
景虎
  • by t
  • 2009-04-22 19:19
  • edit
無責任な奴だな。お前のところの部員だろうが!
フレイ
  • by t
  • 2009-04-22 19:19
  • edit
しっ! アレクが目を覚ますだろ
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-22 19:20
  • edit
景虎の側から逃げるようにフレイが素早く奥のベッドに近寄った。どこかあどけない表情を残すアレクは静かな横顔を見せて穏やかな寝息を立てていた。顔色も元に戻って涙の跡もない。フレイはほっとしたように微笑んだ。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-22 19:20
  • edit
理事長代理がついているぐらい安心なことはないだろう?…それに、いいところあるじゃないか、景虎。この薬、匂いだけは玉に瑕だよな
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-22 19:21
  • edit
フレイは振り返った景虎にも微笑みかけた。柔らかな金髪に似合いの笑顔。ほんの少し嬉しそうに。部屋に漂う漢方薬の香は幼馴染のフレイには昔、嗅ぎ慣れた懐かしい匂いだった。拳法の鍛錬に精を出していた頃の景虎は、よく青痣をつくってこの薬草の匂いをさせていたからだ。
景虎
  • by t
  • 2009-04-22 19:21
  • edit
ふん
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-22 19:21
  • edit
山ほど並べてやろうと思っていた苦情に先手を取られて、景虎は言う気が失せたのか、また椅子に腰掛けてフレイを斜めに睨んだ。
景虎
  • by t
  • 2009-04-22 19:22
  • edit
弱った者を追い詰めるのは性に合わん。治ったらすぐにでも追い出してやるさ
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 00:06
  • edit
…まだそんなことを?
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 00:07
  • edit
フレイは肩を竦め景虎を振り返った。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 00:07
  • edit
そんな悪い奴じゃなかっただろ? まあ、いろいろ…立場上はあるだろうけど
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 00:07
  • edit
景虎とアレクの接点を作るためにフレイがわざと姿を消した思惑がそのセリフから伺え、景虎はますます不愉快そうに眉を顰めた。
景虎
  • by t
  • 2009-04-23 00:08
  • edit
立場上? そんな問題か。ヴァンパイアは人を喰らってしか生きられないんだぞ。お前はその危険性を認識しているのか? 何故、そんな生き物に肩入れする
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 00:08
  • edit
フレイは景虎の険しい表情を少々困ったように見つめ、そしてゆっくりと視線をアレクに戻した。景虎の言葉が含む正論も棘も、この寝顔が漂わせる儚さも危険も、多分全ては本当なのだろう。フレイはアレクを起こさないようにベッドの足元にそっと腰を降ろした。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 00:09
  • edit
…アレクは結構小悪魔でね、少々ずるいところも、でも妙に邪心のない素直なところもあるんだ。…ニコルは穏やかで優しげで…それでいて時折遠くを見つめる癖はとても悲しげで…
景虎
  • by t
  • 2009-04-23 00:10
  • edit
だから何だ
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 00:10
  • edit
フレイの語る二人の像を景虎の苛立たしげな声がさえぎった。興味がないとでも言いたげに。フレイはふっと笑顔を浮かべて景虎を眺めた。そして、ヴァンパイアについてはよく知らないが…と言葉を続けた。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 00:10
  • edit
二人については少しは知っているよ。…私は彼らが好きだよ
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 00:11
  • edit
景虎はヴァンパイアを見、フレイは二人を見ていた。詮索されることを嫌うのか、あまり生徒間の交流をしようとしない二人だったが、エスコート部の連中とはそれなりの付き合いがあった。フレイは学園でもっとも二人をよく知る人間の一人だろう。景虎の黒い瞳とフレイの濃い茶の瞳が一瞬、ぶつかり合う。すぐに目を逸らしたのはフレイだった。景虎はせせら笑った。
景虎
  • by t
  • 2009-04-23 00:11
  • edit
…馬鹿馬鹿しい。そう思わせるのが捕食者の常套手段だ
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 00:12
  • edit
理事長代理らしさが健在で何よりだな。そう声を荒げるなよ。アレクが起きる
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 00:12
  • edit
咄嗟に口元に指を当てたフレイのすぐ横で、小さな声にならない声と寝返りを打つ気配があった。
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 13:50
  • edit
ん、ん....
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 13:50
  • edit
まだ夢見心地の空ろな翠の薄目が部屋を見渡す。いつもなら朝でも遮光カーテンで遮られている薄暗い部屋内に、うっすらと朝陽が絨毯に斜めの線を作り始めている。それに...何か匂う。何処かで嗅いだ事のある匂い。朦朧とした意識が段々蘇ってきた途端、二人の人影にやっと気付く。
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 13:51
  • edit
あれ?おはよう。フレイ....景....
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 13:51
  • edit
逆光で浮かび上がる大きな背中と黒い影。そうだ、昨日の夜半、階段から足を滑らせ、治りかけていた肋骨が又やられた。その痛みを和らげる介抱をしてくれたのは、今もそこにいる黒い影の人物、景虎だ。
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 13:52
  • edit
ずっとここにいてくれたの?...ごめん...フレイ、悪いけど窓を少し開けて貰える?この匂い、すごい...。
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 13:52
  • edit
アレクに言われるがまま、フレイは重いカーテンを大きく開け放ち窓を開けた。その瞬間、鮮やかな朝陽がアレクを直撃する。
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 13:52
  • edit
あっ....
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 13:53
  • edit
今までの緩慢な動きが嘘の様な素早い動作で、シーツを頭からすっぽり被り窓に背を向け丸くなる小さな身体。それを、複雑な二つの目線が追う。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 13:53
  • edit
ああ、ごめんよ
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 19:19
  • edit
フレイが慌てて手を伸ばすと重いカーテンが波打って揺れた。部屋の中は再び薄闇に戻る。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 19:19
  • edit
起こしちゃったね。…もう少し眠るといいよ。
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 19:20
  • edit
フレイはシーツの隙間から覗く銀髪を柔らかくなでてそう言った。その後ろで景虎の立ち上がる気配がする。足音はドアに向かいあっさりと消えていった。ドアが閉まる寸前、景虎は一言だけ置いていった。
景虎
  • by t
  • 2009-04-23 19:20
  • edit
昼過ぎに様子を見に来る
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 19:21
  • edit
事務的な声だったとしても、険はなかった。景虎が居なくなった途端、部屋の中は温度が落ちたような少し空間が広くなったような、そんな気がした。
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 19:21
  • edit
ちゃんとお礼言えなかった...景虎君、寝てないんじゃないかな。フレイ、僕もう大丈夫だから。ありがとう。
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 19:22
  • edit
シーツからもそりと小さな顔を出す。幾分紅潮しているが、顔色は良さそうだ。太陽の光には慣れているはずのアレクも心理的な条件反射なのか、朝陽の直射日光には未だたじろぐ癖がある。フレイが見慣れているはずの人間とは違う彼らのこんなちょっとした動作が、今の景虎の目にどう映ったか。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 19:22
  • edit
あいつは寝不足には慣れているし、また顔を出すさ。……
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 19:23
  • edit
今まで景虎の座っていた椅子に腰掛けて、フレイはほんの少し沈黙した。ヴァンパイアの弱点を問うた景虎。今夜のアレクの姿が景虎の意識にどう作用するか、思惑が転がるのはフレイも同じだ。気を取り直したようにアレクに視線を向けると、彼は微笑んだ。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 19:24
  • edit
血のことは? 言えた?
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 19:25
  • edit
うん、一応。謝った僕。景虎君、返事なかったけど。
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 19:25
  • edit
先程の朝陽で目が覚めたのか、アレクはベッドから起きあがった。おそるおそる少し背伸びをするとパリ、パリン、と変な音がした。景虎の貼った青草の湿布が渇き干涸びたのだろう。胸は少し痛みはあるものの、昨日の様な歩けない程の状態ではない。これなら恐らく今日一日で回復する。
アレク
  • by s
  • 2009-04-23 19:26
  • edit
この湿布外すの、ちょっと手伝ってくれない?外したら包帯だけもう一度巻いて...
ナレーター
  • by s
  • 2009-04-23 19:26
  • edit
自ら手際良く上着を脱ぎ、その華奢な上半身が露になる。開いた窓の隙間から心地よい朝の風が薄暗い部屋の内部に入り込んだ。
フレイ
  • by t
  • 2009-04-23 19:27
  • edit
いいよ。こうかい?…案外難しいな…
ナレーター
  • by t
  • 2009-04-23 19:27
  • edit
熱を癒すと早く乾く薬草だと、フレイは聞きかじりの説明をしながら包帯を巻きなおすのを手伝った。昨日までの気力なく横たわっていたアレクの様子が一変している。フレイは笑みを浮かべたが、ニコルのことを口に出すべきか迷っていた。景虎に頼み探した方がいいのかもしれない。

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