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不知夜月とJardin de ciel(空の庭)のコラボ頁です。

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† 闇に咲く悦楽の閨 第3章 1幕 †

ヴァンパイア達は人間に害をなすものか。それとも? それぞれの立場によってその考え方は分かれていく。そして、厚いヴェールに隠された彼らの本当の姿が、少しづつ見え始める。

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Drama

ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 20:40
  • edit
ひざ枕で朝を迎えた幼馴染。エドリックとジョフロアは、それぞれの部屋で着替えとシャワーを済ませ、寮のダイニングルームで朝食を取るために落ち合った。人狼の謎を解明する目的もあって、ジョフロアは生物学に特に秀で、将来は医師を目指している。そんな彼の観察力は鋭い。エドリックの顔色や歩き方から健康状態を瞬時に見極め、平素と変わりない事を確かめると、ダイニングの学生たちを見渡した。ジークが目覚めたという頃から、どこか憑かれたような眼をした学生が目についていた。面差しに一貫性がある。どれも秀麗で上品な美男子だった。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:42
  • edit
エディ、気分は?
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 20:43
  • edit
すこぶる快調だ。いつもの事だよ
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:44
  • edit
いつもと違うところは、ないかな?
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 20:44
  • edit
ビュッフェスタイルの朝食を取って席に着くと、彼らの横に給仕が立つ。一般の学校とは明らかに違う紳士の養成所に相応しい格式。人の上に立つ者として、そのための器を備える。それもこの学園の教育方針だ。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 20:45
  • edit
おはよう。いつも朝から御苦労だな。今日は、とても幸せな気分だ。それを持続させたい。カルチェラタン・ティーを頼む
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:46
  • edit
僕はいつものアールグレイでお願いします
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 20:46
  • edit
ジョフロアはこの学園唯一の奨学金特待生だった。ほんの少しの違和感を捨て切れない彼は敬語を使う。飲み物が運ばれてくると、さりげない感謝や労いの言葉が給仕に掛けられた。それも将来人を使う立場になるこの学園の生徒たちには欠かせない素養だ。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:47
  • edit
へえ、幸せな気分なのかい?
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 20:48
  • edit
ああ。とてつもなく幸せな夢を見た。…なんだったか思い出せないのが残念だけれど…
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:49
  • edit
それは良かった
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 20:50
  • edit
しらばっくれてそう言いながら、カップに手をかけようとしたエドリックの手首をジョフロアが捕まえた。軽く二本の指を当てると、ふわりと腕を伸ばして袖から顔を覗かせた時計を見つめる。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 20:51
  • edit
なにごとだ?
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:51
  • edit
君の脈をみてるんだ
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 20:52
  • edit
病人じゃないぞ、私は
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 20:53
  • edit
ジョフロアの澄んだ翠の目がエドリックを優しく制止すると、エドリックは観念して、そのままにさせた。13歳で出会った時から、普段強気のエドリックも何故かジョフロアにだけは逆らわない。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 20:54
  • edit
脈は正常だ。顔色もいい。全くの健康体だ。…その上幸せだって?
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 20:55
  • edit
安堵のためか綻ぶように笑うジョフロアを、エドリックは暫く不思議な顔で眺めていた。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 21:04
  • edit
…たぶん、それは君のせいだ、ジョフ
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 21:05
  • edit
それを彼に聞かせたいな
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 21:06
  • edit
彼って誰だ? 私が愛しているのは君だけだよ、ジョフ
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 21:07
  • edit
さあ、どうかな。いつも君の二枚舌を聞いている身としては複雑な気分だ
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 21:07
  • edit
苦笑いするジョフロアの視線の先に、ニコルの姿が映った。彼が朝に姿を見せるのはとても珍しい。透けるような肌の伏し目がちな横顔。唇を硬く結び、何かに耐えるような風情だ。その彼がゆっくりあげた視線の先は、明らかにエドリックだった。
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-12 21:08
  • edit
…エディ?
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 21:09
  • edit
ジョフロアが小さくかけた声にも、エドリックは気づいていなかった。空間で一直線に結びあった二人の視線。それが暫く動かない。けれど、エドリックの表情は見ていて哀れだった。記憶の底に沈められてしまった手掛かり。それを探し出せずに、彼の眉は顰められる。やがて浮かんでくる明らかな焦り。そして困惑。結局彼は、それを見つけられなかった。見つけられる筈もない。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 21:10
  • edit
…ジョフ…なんだろう、この感覚…
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 21:10
  • edit
唇が震え、手に持ったフォークの先が皿の上で微かなビブラートを奏でる。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 21:10
  • edit
…とにかく、ニコルに挨拶しなくちゃいけないな…
ナレーター
  • by z
  • 2009-03-12 21:11
  • edit
肩を落として大きな溜め息をつくと、エドリックは近づいてくるニコルに努めて何事も無かったように言った。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 21:11
  • edit
やあ、ニコル。久しぶりだな
ナレーター
  • by s
  • 2009-03-12 23:39
  • edit
「久しぶり」という言葉にニコルの柳眉が僅かにぴくりと動いたが、それを看て取った者がそこにいたかどうか。
ニコル
  • by s
  • 2009-03-12 23:40
  • edit
おはようございます。エドリック、ジョフロア。今日もいい天気ですね。
ナレーター
  • by s
  • 2009-03-12 23:40
  • edit
努めて平静を装う様にニコルは薄く笑み、エドリックの方を見た。
ニコル
  • by s
  • 2009-03-12 23:41
  • edit
エドリック、気分はいかがですか?
ナレータ-
  • by s
  • 2009-03-12 23:42
  • edit
そう言いながら細い右手をエドリックの肩にそっと置く。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 23:43
  • edit
気分か? …そうだな
ナレータ-
  • by z
  • 2009-03-12 23:44
  • edit
エドリックは言葉を反芻するように、遠い目をした。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 23:45
  • edit
とても、幸せだ。…だけど
ナレータ-
  • by z
  • 2009-03-12 23:46
  • edit
真っ青な瞳の中にニコルの姿が映り込んで暫く時が止まった。肩の上のニコルの手の感触が呼び起したのか、エドリックの脳と身体が離叛して、身体だけが不思議な既視感を懐かしむように勝手に動き出しそうになる。近寄って肩を抱き、髪にくちづける。その感覚を身体のどこかが覚えているのだ。その疑問をエドリックは素直に口にした。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 23:47
  • edit
…ニコル。私たちは昨日会っていない…な…?
ナレータ-
  • by s
  • 2009-03-12 23:48
  • edit
昨日。昨日私達は地底湖のゴンドラの上で愛し合ったと、喉元までこみ上げる言葉を まるで苦い丸薬の様に押し戻す。
ニコル
  • by s
  • 2009-03-12 23:56
  • edit
さぁ…貴方が会っていないと言えば そうなのでしょう
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 23:56
  • edit
なんだか意味深な言い回しだな。私は天の邪鬼だから、余計そういうのが気になる。では、聞きなおそう。会ったのか?
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 23:57
  • edit
だが、その時のエドリックの目は既に現実的な光を帯びて、悪戯っぽく笑っていた。自然に手が紅茶に延びて、さりげなく飲み干す。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-12 23:58
  • edit
…まあ、そう言う事にしろ。伊達男の生徒会長が独り寝したなど、洒落にならない。…そのうち本当に私の褥に誘うよ
ナレータ-
  • by z
  • 2009-03-13 00:00
  • edit
最後の言葉だけを小さく囁いて、軽くウインクした時には全くいつものエドリックだった。口だけは軽い。だが、身持ちは意外と硬派だ。
エドリック
  • by z
  • 2009-03-13 00:00
  • edit
返事は?
ニコル
  • by s
  • 2009-03-13 00:02
  • edit
Yes, Sir.
ナレータ-
  • by z&s
  • 2009-03-13 00:05
  • edit
優しく微笑みながら返された言葉に、エドリックが満足げに親指を立てる。その時ニコルの右手がエドリックの肩から離れた。視線と手のひらだけの逢瀬だった。指先から伝わる体温だけが、その人の実在を伝えて来ていた。本来なら抱き合ってくちづけたかも知れない恋人達。では。と、軽く二人に会釈をしその場を離れようとしたニコルは、もう一つの真摯な視線に気付いた。
ニコル
  • by s
  • 2009-03-13 00:07
  • edit
何か? ジョフロア
ジョフロア
  • by z
  • 2009-03-13 00:09
  • edit
…いいんですか? 貴方はそれで…
ナレータ-
  • by z
  • 2009-03-13 00:10
  • edit
先程のニコルの、唇を固く結び何かに憂うような横顔の意味を、少し感じ取ったジョフロアが聞いた。
ニコル
  • by s
  • 2009-03-13 00:12
  • edit
.....お気遣いに感謝します。
ナレータ-
  • by z&s
  • 2009-03-13 00:12
  • edit
ジョフロアの言葉の意味を瞬時に悟り、穏やかな声音でそう言うとニコルはその場を静かに離れた。肩越しにニコルの後ろ姿を見送りながら、ジョフロアの翠の瞳が哀しげに曇る。すでに他の話題に移り始めたエドリックの幸福に満ちた顔とは対照的なニコルの消え入りそうな表情。ヴァンパイアは精気を受け取るという。それなのにこの現状は。目の前の現実は、ジョフロアの先入観を砂城のように崩し始めた。
アレク
  • by s
  • 2009-03-13 00:30
  • edit
ぜ~んぜん覚えてなかったんだろ?ニコル
ナレータ-
  • by s
  • 2009-03-13 00:31
  • edit
部屋に戻ったニコルを待ち構える様に容赦ない第一声を投げる小さな相棒の目は嬉々とさえしている。それを一瞥しただけでニコルは何も答えない。
アレク
  • by s
  • 2009-03-13 00:32
  • edit
だから僕言ったんだ。どうせ誰も覚えてないって。ねえ、それよりさニコル...
ニコル
  • by s
  • 2009-03-13 00:33
  • edit
黙れ! 何も覚えてなかったさ、何もだ! 昨日会った事さえ忘れてた。…そんなの普通じゃない。彼とは何もかもいつもと違ったんだ! おめでとうGD。君の予想以上だったよ!!
ナレータ-
  • by s
  • 2009-03-13 00:34
  • edit
今は誰にも会いたくない、誰とも話したくない。
ニコル
  • by s
  • 2009-03-13 00:34
  • edit
普通なら、閨の記憶だけ消えるのに…もしかして…
ナレータ-
  • by s
  • 2009-03-13 00:37
  • edit
私を愛していた事まで忘れてるのか…と、心の中で叫びながら荒い息を抑えることなく バン、とドアを両手で開け放ち、人気のあるホールとは逆方向の階段を降りニコルは姿を消した。

以下は、ドラマ執筆管理人の書き込み専用です。

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