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不知夜月とJardin de ciel(空の庭)のコラボ頁です。

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ジョフロアのお茶会【2】

お話はかなりコメディ進行です。細かい事は気になさらずお楽しみください。


エドリック:「ずいぶん物分かりがいいんだな、フレイ。確かにジョフは色っぽい。それが最近は溜め息なんぞついて桃色吐息さ。鬱陶しくって敵わない。突っ込んだら、眼鏡なんかかけて堅物ぶりやがって…」09/16 18:22
ナレータ-:「エドリックはジョフロアのメガネフレームを突っついた。そして、自分の紅茶コレクションから、フレイの好きそうな花々をブレンドしたアールグレイティーの缶と、ココアに合うシナモンとクローブの瓶を取り出す。それをキャビネットに並べて、ジョフロアにそれを淹れるように手で示した。」09/16 18:22
エドリック:「本人に自覚すらない。それが一番やっかいそうだな。ところで、フレイ。私への恋心の自覚は? そろそろ気が付いたらどうだ?」09/16 18:23
ナレータ-:「エドリックはあからさまにウィンクして鷹揚に微笑む。そんなエドリックに首をふって苦笑いしながら、ジョフロアはアールグレイティーを手際良く淹れてポットウォーマーを被せ、アレクの為にココアにクリームとシナモンとクローブを少し加えて、お代わりの用意をする。」09/16 18:23
フレイ:「もちろん、今の君は抱きしめたくなるよ。切ないねえ、エドリック」09/16 18:28
ナレータ-:「肘置きに右ひじを置いて、フレイはため息をつくようにエドリックを見やった。ちょっと困ったような愛しそうな瞳の色。」09/16 18:30
エドリック:「上辺だけの言葉の応酬じゃ、ちっとも面白くないな」09/16 18:38
ジョフロア.:「君の悪い癖だよ、エディ」09/16 18:39
ナレータ-:「ジョフロアは柔らかく微笑むと、湯気の立つ飲み物をテーブルに運んできた。それを静かにサーブするとエドリックの肩にそっと手を置く。」09/16 18:39
ジョフロア.:「ありがとう、フレイ。でも、エディの口の悪さはいつもの事で、彼は何か気が付いていても、それ以上突っ込んで来ないから…」09/16 18:40
エドリック:「私は一応紳士なんでね」09/16 18:41
ジョフロア.:「そういうのは自分で言うもんじゃないよ。その一言で紳士が台無しになる」09/16 18:42
エドリック:「わかったよ、ジョフ。君の言うとおりだ。君は最高だな」09/16 18:43
ジョフロア.:「ああもう、君はあっちへ行ってろ…」09/16 18:45
エドリック:「はいはい。お兄様」09/16 18:46
ナレータ-:「引っかき回すだけかき回して、エドリックは又生徒会長室に消えた。エドリックの背を押しこんだジョフロアは、キャビネットに向かうと色とりどりのマカロンを皿に乗せた。それをテーブルに運んできて、少し気まり悪そうに微笑む。」09/16 18:53
ジョフロア.:「これ、エディからです。悪い奴じゃないんですよ。今朝わざわざ自分で買いに行って」09/16 18:54
フレイ:「もちろん、エドリックは良い奴だよ。ただ、ちょっと寂しがりやなだけじゃないかな?…ああやって口に出せるだけいいんじゃないかな? 君との距離を確認している」09/16 19:16
ナレータ-:「誰かを見るような少々遠い目をしてフレイが呟いた。」09/16 19:21
ジョフロア.:「…暉堂…ですか? 確かに彼は取り付く島がないのかな」09/16 19:30
ナレータ-:「ジョフロアは何かを思いめぐらすように、虚空を見つめた。」09/16 19:30
ジョフロア.:「…でもね、フレイ。エディだって僕の心の奥まで入って来ないんです。それを恐れているように。それは僕が入れさせないのかもしれない。…だとしたら、最初から何処にも入れさせない方が、優しいのかもしれない。…そんな気がするんですよ」09/16 19:30
フレイ:「何で私があんな奴のことを? あいつがどこで誰と何をしようと私にはどうでもいいし、景虎もそう言うさ」09/16 19:49
ナレータ-:「小さく舌打ちするように言って表情を歪める。それでもどこか面白がっているような表情だ。」09/16 19:51
ジョフロア.:「すみません、立ち入っちゃって。十人十色。心の中はそれぞれでしたね」09/16 20:16
ナレータ-:「ジョフロアは自分の偽善者ぶりに唇を噛み締めた。景虎の優しさは素直に肯定できても、実際に景虎とフレイが仲良く並んでいるところを見たら、自分は心穏やかではあるまい。先程、景虎の指先がアレクの頬を掠めただけで、あんなにも心が乱れた。」09/16 20:18
アレク:「そう言いながらさ、フレイは景虎君の事、よくわかってるじゃん。いい距離だと思うな2人。ね?ジョフロア。」09/16 20:36
ジョフロア.:「ええ。実際の距離より魂の距離は近い…と思います…」09/16 21:01
ナレータ-:「自分で言った言葉があまりに真実をついていて、ジョフロアは思わずテーブルを離れて窓辺に行き、空を見上げた。」09/16 21:01
フレイ:「ジョフロア? どうかしたのかい?」09/16 21:25
ナレータ-:「ちょっと心配そうにフレイが問うた。」09/16 21:27
フレイ:「アレク。私は景虎のことを少しは知ってるさ。幼なじみだからね、あのイヤミで排他的な思考回路もね。あいつがどこでどうしようと本当にどうでもいいんだ。景虎が選んで幸せならね。…それだけだよ」09/16 21:32
ジーク:「私にも君お薦めのお茶を一杯頂こうか、ジョフロア。話は構わずそのままどうぞ続けて。」09/16 21:36
ナレータ-:「何処から入って来たのか足音さえしなかったのに、奥のソファに悠然と腰掛けている人物が一人。恐らくドアからではない。」09/16 21:38
ジョフロア.:「ジーク! …あ、お茶ですね。新しいのに入れ替えます」09/16 21:53
ナレータ-:「その場にいた誰もが驚いた。しかし、ジョフロアは耳を赤く染めた。今日はすこぶる心臓に悪い。客が勝手に現れては、目の前で心臓に悪い事を繰り広げる。」09/16 21:53
ジョフロア:「フレイ、どうか心配なく。大丈夫。自分を叱咤して出直しますから…」09/16 21:53
フレイ:「ジョフロア、そう力まないで…。ええと、ジーク? 私はフレイ・天羽。いつも噂を聞いて会いたいと思っていたんだ。よろしく」09/16 22:11
ナレータ-:「ジークの持つ静かに重い気配に一瞬気おされたように瞬いたフレイだが、ゆるく微笑んでそう言った。」09/16 22:15
ジーク:「こちらこそ、フレイ。綺麗な金髪だ。」09/16 22:49
アレク:「出た~!どっから入って来たのさジーク。」09/16 22:50
ジーク:「奈落の底から。GD、左のほっぺにクリームが付いてる。」09/16 22:51
ナレータ-:「「取ってあげる」とGDに手招きをすると、ジークの側にGDが駆け寄った。ピンク色の頬についたクリームを細い指で掬いそのまま自分の口に持っていく。複数の目線が自然とそれを追う。」09/16 22:59
ジーク:「失敬。どうぞお話を続けて。」09/16 23:00
フレイ:「ありがとう、ジーク。でも驚いたな、会えるのは私が爺さんになった頃かと思っていたんだ。今日はお茶を楽しみに? 何かで目が覚めたとか?」09/16 23:09
ナレータ-:「ジークとアレクの持つ独特の雰囲気。闇の中で銀に光るようなオーラに見入っていたフレイが、少々興味深げに聞いた。」09/16 23:15
ジーク:「粋狂では理由にならない?フレイ。君達が美しいままで会えて私は嬉しい。そうは思わない?ジョフロア。」09/16 23:23
ナレータ-:「くっくと喉の奥で小さく嗤いながら、黒髪の青年に問いかける。」09/16 23:25
ジョフロア.:「僕らの話はもう…。ですね、フレイ?」09/16 23:31
ナレータ-:「淹れたばかりの薫り高い紅茶を銀の盆に乗せて、ジョフロアがジークに近づいた。最初にフレイに微笑んで、ジークには少し目を伏せたまま会釈する。ジークとは対処的に、話しかけられたジョフロアはどこかぎこちなかった。」09/16 23:31
ジョフロア.:「僕には、なんだかずっと会っていないような気がします。お久しぶりですジーク」09/16 23:32
ジーク:「そう?では君にあわせて、久しぶり。お茶をありがとう。」09/16 23:38
フレイ:「私は会えて嬉しいよ。でも、景虎が居なくてホントによかった。あいつが居たらハリネズミのようになってお茶会にならないだろうからね」09/16 23:43
アレク:「僕、呼んで来ようか?景虎君。」09/16 23:47
ナレータ-:「今にもドアに向かって走り出しそうになるアレクを、二つの翠の視線が無言で制す。」09/16 23:51
アレク:「ちぇっ。」09/16 23:52
ナレータ-:「景虎とジークが揃った状況は、ジョフロアにとってハリネズミどころか針の筵のような気がした。どちらもきっと遠慮などしない。けれど、ジーク一人でもなんとなく気まずかった。端から押して来ているのを勘の鋭いフレイに気づかれそうでならない。」09/17 00:00
ジョフロア.:「エディ! ジークが来てる。ニコルの事で言いたい事があったんだろう?」09/17 00:01
エドリック:「なに? ジークだって?」09/17 00:01
ナレータ-:「生徒会長室のドアが大きな音を立てて、開口一番、エドリックが飛び込んできた。ジークの銀髪が目に入ると居住いを正し、胸の前で右手をくるりと回して跪き、深々と最敬礼した。」09/17 00:02
エドリック:「私は、エドリック・尊・バイロン・デューク・オブ・サフォーク。次期当主です。ニコルの時間を少し私に頂きます。儚き命の身ですが、どうかお任せを」09/17 00:02
ジーク:「えらく長い名前だ。一回では覚えられそうにないな。」09/17 00:22
エドリック:「イングランドのサフォーク州でバイロンと言えば、誰でもわかります。貴方の家族を一時お預かりする身。お見知りおきを」09/17 00:26
フレイ:「私も初めて聞いたな本名。二人は初対面だったけ?」09/17 00:29
ナレータ-:「肘あてに寄りかかったまま、フレイが目を丸くして隣に立ったままのジョフロアに囁く。」09/17 00:30
ジョフロア.:「いや、会ってます。でも、ニコルの後見人としては、初めてジークに名乗るんじゃないかな? 彼にしてみれば、お嬢さんを私に下さい…的な挨拶なんですよ」09/17 00:33
フレイ:「名乗りって…戦国時代の武将かい! 古風な奴だな~」09/17 00:34
ジーク:「そう?それは初耳だ、エディ。君がデュークとはニコルは玉の輿だな。君もちょっとは見習ったら?GD。」09/17 00:35
ナレータ-:「あえて本題には触れず、言葉とは裏腹な優雅な物腰でゆっくりお茶を飲むジーク。」09/17 00:36
フレイ:「しかも何となくはぐらかされてるし…」09/17 00:37
ナレータ-:「興味シンシンで成り行きを見守るフレイ。」09/17 00:39
アレク:「さっきから何さ、コレ。エドリック、ニコルはお嬢さんじゃないぜ!ジークもジークだ。何が見習えだバカヤロー!」09/17 00:40
エドリック:「おい、GD。私はニコルをお嬢さんなんて、言ってないぞ! ジーク、彼には絶対に不自由はさせません。必ず幸せにします!」09/17 00:43
ナレータ-:「それからエドリックは、周りがあんぐりと口をあけている中、家系の成り立ちと、領地と家宝について長々と口上した。フレイの言った通り、まるで中世の騎士か戦国武将のようだった。」09/17 00:44
フレイ:「エドリーック。問題はそこじゃないような気がするぞ~~」09/17 00:45
ナレータ-:「後ろから応援を小声で送りつつ、フレイが失笑している。」09/17 00:46
エドリック:「そして、GDには心から感謝しています」09/17 00:47
ナレータ-:「エドリックは、フレイの事など無視して、口上を言い終わると、最後にそう付け加えた。」09/17 00:48
ジーク:「(パンパンと拍手をしながら)素敵な講釈をありがとう。お影でいい退屈しのぎになったよ、エディ。続きは是非ニコル本人の前で。残念だが私は遠慮しておこう。」09/17 00:51
フレイ:「お茶のお代わりいいかい? ジョフロア。何だか手に汗握ったよ」09/17 00:52
ナレータ-:「のんびりした声がいくつか交差する。」09/17 00:53
エドリック:「…続き? 続きは我が腕の中でニコルに囁きます。失礼だが貴方には聞かせるわけにはいきませんよ」09/17 00:54
ナレータ-:「エドリックがそう言った高らかな声と、ジョフロアがフレイに答えた穏やかな声とほぼ同時だった。」09/17 00:55
ジョフロア.:「ええ。もちろん、フレイ。GDは? お代わりはどうです?」09/17 00:56
フレイ:「じゃあ、まあ名乗りが終ったら座ってお茶は? エドリック。喉が渇いたんじゃないのか?」09/17 00:57
エドリック:「ああ、渇いた。だけど、まだジーク殿に同席の許しを得てない。構いませんか? 私も一緒で」09/17 01:01
ジーク:「喜んで、エドリック・尊・バイロン・デューク・オブ・サフォーク。おや、私の記憶力も捨てたもんじゃないな。」09/17 01:05
フレイ:「よかったな、エドリック。…アレクも、総毛立った猫みたいな顔してないで。座って」09/17 01:05
ナレータ-:「額に汗を浮かべたエドリックにはハンカチを差し出し、フレイはアレクに声をかけた。平和主義の彼らしい態度だ。」09/17 01:06
アレク:「ジョフロア、ココア美味しかった。ありがとう。僕、帰る。」09/17 01:12
ナレータ-:「バタンとドアを乱暴に閉め、走り去る靴音が廊下に響く。」09/17 01:14
ジーク:「失敬。躾がなってないようだ。」09/17 01:17
フレイ:「アレク」09/17 01:18
ナレータ-:「フレイは立ち上がったものの、小さく息をついてまたソファーに腰を降ろした。エドリックと同席したくないアレクの心理は誰にも動かすことはできない。」09/17 01:19
ジーク:「気を悪くしないでほしい、君達。さて、何の話をしていたのかな?」09/17 01:22
フレイ:「ええと、何だったかな? 私は物理の試験問題が重要課題ではあるんだけどね、ジョフロア」09/17 01:24
ジョフロア.:「物理は僕がテューターしますよ、フレイ。エディでも出来ると思います。彼は大学で宇宙物理学専攻の筈だから。…古文はからっきし駄目だけど」09/17 01:32
エドリック:「いいえ。遠因は私にもありますから、ジーク。…いやジョフ。こいつと二人っきりで部屋に居たら、ニコルへ操が立たない」09/17 01:34
フレイ:「はいはい、エドリックはニコルと星の話でもしててくれ。だからジョフロア、問題をほんの少し…」09/17 01:38
ジョフロア.:「残念ですけど、先生を裏切る事はできません。とにかく問題を解けるようにはしますから…」09/17 01:50
ナレータ-:「フレイに答えながら、ジョフロアはちらりとジークを見やった。頬杖をついたまま、空を見上げている横顔がどこか哀しげだ。」09/17 01:50
フレイ:「やっぱりか…。難攻不落だな、ジョフロア。君の弱みって一体なんだろうね…」09/17 01:53
ナレータ-:「何かを見透かせないかと、フレイはじっとジョフロアを見詰めている。ジークをみやった翠の瞳に彼が気づいたかどうか」09/17 01:54
エドリック:「ジョフの弱みは、くすぐる事だ。こいつ、面白いくらい弱いぞ」09/17 01:57
ジョフロア.:「…馬鹿! ばらすなよ!」09/17 01:58
ナレータ-:「遠い瞳から急に我に帰って、ジョフロアは、エドリックの膝をはたいた。」09/17 02:00
ジョフロア.:「すみません、ジーク。いろいろ騒がしくて…」09/17 02:04
ナレータ-:「ジョフロアは、エドリックからの反撃の手を掻い潜りながら、そう言った。」09/17 02:17
フレイ:「仕方ない。赤点取ったらジョフロアに八つ当たりに来るとして…私は部室に帰って勉強するよ」09/17 02:52
ナレータ-:「そこには多分、アレクの姿があるのだろう。フレイは彼を宥めようとするに違いない。ほんの少し心配そうな部長の顔が浮かんでいた。フレイはカップを飲み干すと立ち上がった。」09/17 02:57
エドリック:「なんだ、フレイ? ジョフを不正に加担させることが出来なかったからって、逆切れ予告はないだろう? ジョフのテューターだってプレミアものなんだぞ、少しは有り難く思うことだ」09/17 07:57
ジョフロア.:「フレイ、いつでもどうぞ。…それから、アレクにこのチョコレートを。これは、僕からです」09/17 08:04
フレイ:「冗談に決まってるだろう? エドリック。やれやれ、最近ピリピリした連中が多いな…。ありがとう、ジョフロア。アレクに代わって礼を言うよ」09/17 09:02
ナレータ-:「肩を竦めため息をついたフレイだったが、小さな箱を受け取ってジョフロアに微笑んだ。ハッピーであろうとアンハッピーであろうと、恋は人の感情を敏感に波立たせる。複雑に交錯している人間関係の中で、フレイだけが変わらない。」09/17 09:06
ジーク:「潔いね、フレイ。そのチョコに、君の爪の垢でも煎じた茶でも添えて、アレクに差し出して欲しい位だ。会えて楽しかったよ。又会おう。」09/17 09:28
ナレータ-:「すっくとソファから立って、握手を求める。交わした握手を離すとそのまま歩をドアに進めた。」09/17 09:29
ジーク:「ご馳走様。」09/17 09:35
ナレータ-:「瞬く間に銀のオーラが部屋から消えた。」09/17 09:36
フレイ:「え?」09/17 09:40
ナレータ-:「何か気の利いた返答をしようと口を開きかけたその瞬間の出来事だった。握った冷たい手から流れた不思議な力。フレイは、アレクともニコルとも違う水底のような気配を纏うヴァンパイアの掻き消えたドアの隙間を見詰めていた。」09/17 09:44
フレイ:「…チョコレートはジークに渡した方がよかったね、きっと」09/17 09:49
ナレータ-:「多分フレイが探すより先に、ジークはアレクの元に行ったのだろう。フレイにはそんな気がした。ちょっと首をかしげてジョフロアに微笑む。」09/17 09:50
ジョフロア.:「……」09/17 12:46
ナレータ-:「フレイの声が急に人気の消えた部屋にぼんやりと響いても、ジョフロアは硬い表情で俯いたままだった。一度瞳が合ったらそのまま引きずり込まれそうで、視線すら合わせられなかったジーク。視線を悟られたくなくてずっとかけたままだった眼鏡を、彼はゆっくりと外す。本当は触れたかった。その手が触れたフレイの右手にちらりと目をやると、ジョフロアは窓を開けて、バルコニーに出た。」09/17 12:47
ジョフロア:「…ジーク、ごめんなさい。僕は意気地なしだ」09/17 12:47
ナレータ-:「自分の煮え切らなさが、ジークの思い人である黒髪の男性のイメージを壊してしまっただろうか。彼の美しい思い出の汚点にならなければいい。そう願う事しか彼にはできない。ジョフロアはふと、窓辺に差し掛かっていた白薔薇の蔓を見上げた。その枝から見事に咲いた一輪を手折ると、窓の下を流れる清流にそれを投げ入れた。ジークの思い人の御霊へ。おそらくは遥か遠い昔の自分へ。」09/17 12:47
ジョフロア:「その人の名前だけでも、聞いておけばよかったな…」09/17 12:48
フレイ:「ジョフロア? じゃあ失礼するよ。美味しいお茶をありがとう」09/17 12:56
ナレータ-:「ジョフロアの気配に何となく去る機会を失していたフレイが部屋の中から声をかけた。」09/17 12:58
フレイ:「有意義なお茶会だったよ」09/17 12:59
ジョフロア:「フレイ。貴方は優しいな。もしジークがまた現れたら、話し相手になってあげてくれませんか?」09/17 13:17
ナレータ-:「自分だとがっかりさせてしまう。ジョフロアはそこまでは言わなかった。暫く流れて行く白い花を見つめながらそう言うと、彼はようやく振り向いた。けれど、儚げに見えるジョフロアの笑顔の中で、瞳だけが熱を持ってフレイに語りかけている。」09/17 13:17
エドリック:「ジョフの淹れたお茶は美味しいのさ。同じ銘柄でも何故かまろやかだ」09/17 13:18
ナレータ-:「エドリックがウィンクして、マカロンの入った土産用の箱をフレイに手渡した。」09/17 13:18
エドリック:「これも持っていけ。君の好きそうなモナコ公国直送のお菓子だから」09/17 13:18
フレイ:「へえ! 何だか得したな、今日は」09/17 13:22
ナレータ-:「喜んで受け取ったフレイがドアの前で振り返ってジョフロアにウインクした。」09/17 13:22
ジョフロア:「よろしく、フレイ」09/17 13:24
フレイ:「いいよ。ジョフロア。ここへ来た誰も皆、優しいんだ本当は。だから悩むんだ。…でも、それでいいんだよ、きっと」09/17 13:27
ナレータ-:「光を放つようなフレイの長い金髪が微笑するように揺れながら、余韻を残して消えていった。」09/17 13:29
エドリック:「優しさは時として残酷だ。ジョフはそれも知ってるよな?」09/17 13:38
ナレータ-:「エドリックが、ぼんやり窓を見上げていたジョフロアの肩をぽんと叩いた。」09/17 13:39
ジョフロア:「…ずいぶん、はっきり言うね」09/17 13:39
エドリック:「当たり前だ。君は自分に腹を立て、優しくされるより誰かに叱って欲しいんだろう? 顔に書いてある」09/17 13:40
ナレータ-:「ジョフロアが苦笑いしていると、エドリックはさらに続けた。」09/17 13:41
エドリック:「自分に我が儘になる事を恐れるなよ、ジョフ。少しぐらい嫌な奴になれ。私が許す」09/17 13:41
ナレータ-:「エドリックがからからと笑って、揺れる金髪とその背が生徒会長室に消えた。」09/17 13:43
ジョフロア:「…中庸って、とても難しいのだろうな」09/17 13:45
ナレータ-:「ジョフロアの長嘆息が、一人残された部屋にたゆたっていた。」09/17 13:45

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