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不知夜月とJardin de ciel(空の庭)のコラボ頁です。

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のどなかなる恩恵の季節 2


人前に立つのが苦手なニコルとフレイの策略を嗅ぎ取ったエドリックは一旦舞台を降りてしまったが…。
園内お笑いコンテストの出場メンバーと賞品を巡ってさまざまな思惑が交錯する。さてはて、一体誰が舞台に立ち豪華賞品を手に入れるのか…?


景虎:「何の騒ぎだ。…ホールの使用許可は取っているのか」10/15 23:45
ナレータ-:「どかどかと傍若無人な足音がして、厚い扉を開け放った景虎があたりを見回した。座席でうずくまったエドリックと傍にフレイ。ジークとアレクは離れて遠巻きにして眺めている。」10/15 23:47
フレイ:「おや、景虎。何のって…リハーサルさ」10/15 23:49
エドリック:「そう。私がロミオで、フレイがジュリエット…の筈だ。今は、ロミオが毒を仰ったところさ」10/15 23:52
ナレータ-:「ジョフロアにはこの騒ぎが聞こえていると思ったのか、後から駆け付けてきたジョフロアに、エドリックはウィンクしてみせた。」10/15 23:58
ジョフロア:「…みなさん。なんだか大変そうですね。リハーサルお疲れ様」10/15 23:59
フレイ:「ああ、ロミオさま何てことに…! って何でやねん」10/16 00:02
ナレータ-:「再びパンと音がしそうなツッコミだったが、フレイが裏手をエドリックの胸の前で寸止めした。」10/16 00:03
エドリック:「フレイ、いいぞその調子だ。一緒にやるか? ニコルは私の秘蔵の宝だからな。私に振りかかったとばっちりに巻き込むのは嫌なんだ」10/16 00:05
フレイ:「君にそう言われたら嫌とは言いにくいなあ…。二人で新境地を目指すかい?」10/16 00:12
ナレータ-:「ふたりの会話の横で景虎が眉を寄せたままきびすを返した。どうやら自分の出番はないと悟ったらしい。」10/16 00:13
景虎:「結構なことだな、フレイ。賞品は自分で取りにいくものだ」10/16 00:13
エドリック:「学園の双璧で恥をかくのも悪くないぞ、フレイ。でも、この馬鹿デカイ黒髪と馬鹿デカイ金髪のコンビも見たかったけどな。無理なんだろ? たぶん」10/16 00:18
ナレータ-:「エドリックは、わざと景虎の耳に届くように言ってみる。一言多いのは彼の癖だ。」10/16 00:18
景虎:「ボケ役も大変そうだな、バイロン。せいぜい多才ぶりを披露しろ」10/16 00:23
ナレータ-:「皮肉に笑ってさっさとその場を後にする。」10/16 00:23
アレク:「あ~ん。折角、僕が景虎君連れて来たのに~。見たかったな~フレイと景虎君の漫才♪」10/16 00:30
ナレータ-:「アレクの様子を見ていたエドリックが、ニヤリと笑って大声で景虎の背に呼びかけた。」10/16 00:32
エドリック:「おい待て、暉堂君。まだ用事は終わってない。アレクが君とのコンビを所望しているぞ」10/16 00:32
景虎:「GD。くだらないことで俺を呼ぶな」10/16 00:34
ナレータ-:「二度とこないぞ、と言いたげな目つきでじろっとアレクを睨む。」10/16 00:34
アレク:「たまには、こ~いうくだらない事でもしてそのコッチコチの堅い頭を柔らかくしてみたら?景虎君。ほら、リクエストだ!」10/16 00:37
ナレータ-:「殆どホールを出る寸前の景虎の腕を力一杯掴むGD。そこへ冷たく濡らしたハンカチを持ってニコルが座席に現れた。エドリックの前に軽く屈み、はだけた胸元の少し赤くなった部分にそっと押し当てる。」10/16 00:39
ニコル:「ちょっと冷たいですよ。」10/16 00:39
エドリック:「ああ、気持ちいい。…このままベッドになだれ込みたいな、ニコル」10/16 00:52
ナレータ-:「エドリックは、心地よさそうに目を閉じた。その手を自分の胸の上にあるニコルの手に重ねる。」10/16 00:53
エドリック:「コンビを組めなくて、すまない。過保護にしてるわけじゃない。ただ、私の意思に反して巻き込みたくない。君は私の手で育みたいんだ。もちろん、独占欲を笑ってくれて構わないさ…」10/16 00:53
フレイ:「つっこみどころ満載なんだけどなあ…(ため息)」10/16 01:04
景虎:「離せ、GD!…ったく、最近元気がいいな、お前。搾取しすぎるなよ」10/16 01:06
ニコル:「笑うなんて...私は既に貴方だけのものです。」10/16 01:12
ナレータ-:「少しはにかみながらエドリックの瞳を見つめるニコル。ホールの各所で各々の思惑が展開している。」10/16 01:14
アレク:「離さないっ!大丈夫、僕ちゃんとフォローするから。心配しないで、ね?」10/16 01:17
ナレータ-:「アレクと景虎の様子は まるで父親の腕にぶら下がる幼い駄々っ子のようだ。ぶら下がっている方の年齢差が数倍あるとは到底見えない。」10/16 01:22
ジョフロア:「僕らあぶれましたね、ジーク。みんな若いなぁ…」10/16 01:28
ナレータ-:「いつの間に来たのか。ジョフロアがジークの座る席の横に立っていた。」10/16 01:29
ジーク:「若い軍師殿はこの状況をどう見る?」10/16 01:32
ナレータ-:「斜め後ろの声のする方を見ながら、人差し指を頬に当て面白そうに小声で問いかける。」10/16 01:32
ジョフロア:「…僕が軍師ですか? まだまだです。でも、この状況はなかなかに至善至美かと…」10/16 01:36
ナレータ-:「穏やかな翠の瞳がそれぞれの様子を見まわして、最後にジークを見つめた。」10/16 01:40
ジョフロア:「お元気そうでなによりです、ジーク」10/16 01:41
ジーク:「君も。ここは平和だな。ところで、そろそろ私の手に落ちる気にはなったかい?」10/16 01:45
ジョフロア:「心は貴方の手中にとっくに堕ちてますけどね。身体はまだ永遠を生きる覚悟はできていません。…それには僕は煩悩が多過ぎる」10/16 01:49
ジーク:「では、君の煩悩が百を切ったら声を掛けてくれ。それまではお預けだ。」10/16 01:54
ナレータ-:「そう言いながら、少し離れた所でアレクと景虎が揉み合っていたり、ニコルとエドリックが睦み合い、それを傍らで突くフレイらの様子を彼らより幾分低い温度の視線で見つめている。」10/16 01:56
ジョフロア:「…百? 人々が一笑すれば百の媚めかしさ生まれ…。僕の煩悩は生まれ続けて消えそうにありません」10/16 02:01
ナレータ-:「ジークの横顔をずっと見つめていたジョフロアが、ふと疑問をぶつけた。」10/16 02:01
ジョフロア:「貴方は、もし人間に戻れたら、戻りますか?」10/16 02:01
ナレータ-:「青年の突然の真摯な問いに、一瞬冷たい翠の奥の瞳孔が猫の眼の様に中心の一点に引き締まった。だが、すぐにいつもの読み取れない表情へと変貌していく。」10/16 02:20
ジーク:「その問い、そっくりそのまま君に返そう。」10/16 02:21
景虎:「ルーパス! 先に帰るぞ!」10/16 07:35
ナレータ-:「ふと重なる翠の視線。ジョフロアが口を開こうとすると、そこへ景虎の一声が割って入った。どうやらしつこいアレクの腕から逃げ出したらしい。ホールのドアが派手な音を立てて閉まった。」10/16 07:35
アレク:「あ~惜しいな~。もうちょっとで景虎君と漫才出来そうだったのに~」10/16 08:03
ナレータ-:「そこへアレクが息も荒く座席に戻って来た。前方ではフレイとエドリックがニコルを挟んで大きな笑い声を立てている。平和な光景。ジークは目を細めながら その様子を見渡し横に座っているアレクに微笑みかける。」10/16 08:12
ジーク:「残念だったな、GD」10/16 08:13
フレイ:「変わってるなあ、アレクは。何であんな奴に構うんだ?」10/16 08:51
ナレータ-:「いつの間にか傍に来ていてフレイが呆れたように後ろから声をかけた。」10/16 08:52
ジーク:「慕ってるんだろう。あれでも」10/16 09:10
フレイ:「はぁ…? ヴァンパイアって皆ちょっと趣味が変わっているな…。まあ、幸せならそれでいっか」10/16 09:20
ナレータ-:「ふわふわとした笑顔でフレイが頷いた。」10/16 09:21
フレイ:「ところで御大は最近よくお出ましだけど、面白い? 今の学園」10/16 09:22
ジーク:「そう見える?」10/16 09:39
フレイ:「とても。…それとも何か気になっている? でも、貴方が居ると二人の雰囲気が少し違って…とてもいいね」10/16 09:46
ナレータ-:「エスコート部はいわば理事長命で二人をかくまう役を担っている。フレイは彼らにとってもっとも身近な人間の一人だ。春の陽だまりのような笑顔が妙に嬉しそうだった。」10/16 09:49
ジーク:「そう....私は彼ら2人が幸せそうに笑っている姿を見るのが好きなんだ。ここ100年程の間では、今が一番2人共楽しそうだ。そういう意味では君にも大変感謝しているつもりだよ。」10/16 10:08
フレイ:「ははっ。実は私もそう。彼らの笑顔はとても素敵だ。それも…こう…作っていない笑顔っていうのかな? もちろんエドもそうで、多分…景虎も」10/16 10:18
ナレータ-:「フレイは少し離れてまだむくれているアレクに声をかけた。」10/16 10:18
フレイ:「アレク、景虎がチョコレートくれるってホントかい? どうせ理事長からとか言うんだろ?」10/16 10:19
アレク:「ホントだよ。景虎君、僕がチョコ好きなの知ってるからじゃ~ないかな。誰から貰ったかは知らないけど...」10/16 10:22
フレイ:「ま、あいつにしては上出来だよ」10/16 10:26
ナレータ-:「ふふっと肩をすくめてフレイが笑った。」10/16 10:27
ジーク:「そうだな」10/16 10:32
ナレータ-:「ヴァンパイアは基本的に食物は摂取しない。しかし、アレクは嗜好品としてチョコレートを好んで食べる。恐らく彼らの正体を知った上で、その姿に安堵したい人間が側にいること自体が大事なのだと彼らが気付いているのかどうか....ジークは景虎の堅い表情を思い浮かべ、形の良い口の端でくすりと嗤った。」10/16 10:35
フレイ:「…貴方も幸せ?」10/16 10:38
ナレータ-:「ふと、フレイが囁くようにそう問うた。」10/16 10:38
ジーク:「今日はどうやら私にとって質問攻めの日のようだ。で、君は私にどう答えて欲しいんだい?」10/16 10:48
ナレータ-:「景虎に呼ばれ、答えを言わぬまま、会釈してその場を立ち去ったジョフロア。その彼がホールのドアに手をかけたところで立ち止まった。人狼の耳にはジークとフレイの会話が聞こえていた。フレイが今問いかけた質問は、先程自分が質問した事と意味的に変わりはない。会話の先が気になって、ジョフロアは舞台の余光で明るく見える彼らの席に目を凝らした。」10/16 11:00
フレイ:「これは立ち入ったことを失礼。気を悪くされたら申し訳ない」10/16 11:13
ナレータ-:「ほんの少し目を伏せてフレイは謝ったが、すぐにいつもの笑みを浮かべる。」10/16 11:13
フレイ:「…どんな答えが欲しいのかな…? 自分でもよくわからないな。ただ、貴方は今まで私の会った人間の誰とも違う。だから…不思議でしょうがない。そんな感じ」10/16 11:15
ナレータ-:「人差し指を顎にあてて、首を傾げる。」10/16 11:17
ジーク:「興味を持って貰えるのは光栄だ。まして私は気を悪くしてなどいない。これではどうだろう、君が幸せなら私も幸せだ。満足?」10/16 11:32
ナレータ-:「その答えを聞いて、ジョフロアが苦笑しながら首を振った。ジークはきっと自分にもそう答えるだろう。ジークの心は深い海の底だ。垣間見る事が出来るのは、きっとその命を奪う者だけに違いない。ジョフロアがドアを開くと、明るい廊下からホールに向けて一筋の光が入り込んだ。そのシルエットの中で、彼はもう一度ジークに向けて会釈する。そして、ドアは静かに閉まった。」10/16 11:40
フレイ:「ありがとう。…あなたはきっと優しい人なんだね」10/16 12:15
ナレータ-:「どこか切なげにフレイは呟いた。」10/16 12:16
ジーク:「それは君が優しい証拠だ」10/16 18:23
ナレータ-:「さて、と重い腰を上げ静かに席を立つジーク。アレクに2、3小さく耳許に囁いたかと思うとフレイの方を一度振り返っただけで、その足取りのままホールを後にした。」10/16 18:38
フレイ:「…何だか不思議な人だよねぇ…ジークって。ねえ、アレク」10/16 18:43
ナレータ-:「ちょっと感嘆ぎみにその細い背を見送ってフレイが呟いた。」10/16 18:43
アレク:「そぉかなぁ....普通じゃない?ね、それよりフレイは僕とコンビ組む気はない?」10/16 20:10
ナレータ-:「未だ誰かとコンビを組む事を諦めてないアレクに今度はフレイが苦笑した。きっと彼にとってジークという存在は空気より身近なのだろう。クルクル廻る大きな瞳で子供の様にはしゃぐ目の前のアレクを見つめながら ふとそんな風にフレイは思った。あと数年で自分はアレクとニコルを周囲からかくまう役目を終えないといけない。その後、彼らはどうなるのだろう。何処か違う場所に行くのだろうか。恐らくジークはその先の事を見据えているに違いない。そんな事を自分がいくら考えても詮無い事と知りつつもジークの後ろ姿の残像がフレイの脳裏から容易に離れなかった。」10/16 20:15
エドリック:「アレク。フレイの相方は君に譲ろう。さっき、私は私の都合でニコルを巻き込みたくなかった。だけど、今度はニコルの都合だ。ニコルは、きっと君に舞台に出て欲しいと思っているさ。…な、ニコル?」10/16 20:52
ナレータ-:「ニコルの肩を抱き寄せて、エドリックがアレクとフレイに向かって、にっこり微笑んだ。」10/16 20:53
ニコル:「フレイの気持ちも聞いてみないと...私が口を挟む事じゃないと思うんですが...」10/16 20:59
エドリック:「フレイの気持ち? そんなの問題ないさ。これは、こいつの計略から始まったコンクールなんだからね。そうだろう、フレイ?」10/16 21:01
ナレータ-:「エドリックは、先程の仕返しとばかりに、フレイに胸を思いっきりド突いた。」10/16 21:02

エドリック:「欲しい賞品は自分で取りに行けと、暉堂君も言ってたしな。…さてと、私はニコルと観客席で高みの見物と行こうか」10/16 21:03
アレク:「僕ね、以前にもここの舞台に立った事あるよ。その時は白雪姫の7人の小人役の一人だったけど。あっ、七匹の子やぎの役もあったな。....って事でフレイ、僕にど~んと胸を借りるつもりでどう?」10/16 21:07
ナレータ-:「全くあてにならない自らの経験を自慢げに語るアレク。しかし、その場にいた者達には、アレクの言葉はもっと違う意味を持っていた。」10/16 21:09
ニコル:「GD!」10/16 21:09
ナレータ-:「咄嗟にニコルがアレクの口を両手で塞いだ。その手が小刻みに震えている。」10/16 21:13
エドリック:「あーあ。それ全部見たぞ。理事長の為のプライベートな観劇会でね。私も生徒会長だから、呼ばれたんだ。…なかなか良かったぞ、アレク」10/16 21:22
ナレータ-:「ニコルの慌てた様子を察して、エドリックが咄嗟にフォローした。この場には彼ら以外に、照明係や舞台装置の係りの生徒達も居たからだ。」10/16 21:23
アレク:「違...もっとず~っと前...んぐっ...何だよっ!ニコ....」10/16 21:26
効果音:「パンッ」10/16 21:28
ナレータ-:「ニコルがアレクの頬を叩いた。一瞬水を打った様に辺りが静まり返る。」10/16 21:29
ニコル:「わからないの?GD.....」10/16 21:31
ナレータ-:「そっとアレクの赤くなった頬に手を置いたニコルが彼の大きく潤んだ目をじっと見つめた。そのままアレクの肩を引き寄せ抱きしめる。」10/16 21:38
ニコル:「今回のコンビは残念ですが諦めましょう。フレイ、又の機会ということで...行こう、GD。」10/16 21:39
ナレータ-:「今にも泣き出しそうなアレクを伴い、ホールの出口へと歩き出したニコルが立ち止まり振り返った。」10/16 21:46
ニコル:「ありがとうございます。エドリック」10/16 21:46
ナレータ-:「少々戸惑いの影を残し、2人の姿がホールから消えた。」10/16 21:48
エドリック:「…いや、なにもしてないさ。 暫くアレクの側にいてやれ、ニコル。私の事はいいから!」10/16 21:50
ナレータ-:「エドリックはドアの閉まる前に大声で怒鳴ると、フレイに向き直った。」10/16 21:51

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