ジークを学園の生徒にと、もちかける景虎。そして、ジークをめぐる騒動が勃発する。
フレイ:
「ちょっと思ったんだけど…。ジークの学籍ってあるのかな?」10/20 20:15
ナレータ-:
「ふらりと生徒会室に立ち寄ったフレイが、エドリックとジョフロアを前にして切り出した。」10/20 20:17
フレイ:
「御大は最近、よくお出ましだろ? 昼間も。…学生から見たら不思議な存在だと思うんだよな」10/20 20:27
ナレータ-:
「そしてちょっと頬を緩ませて楽しそうに笑った。」10/20 20:27
フレイ:
「だって、あの人と一緒に講義受けたりって何だか面白そうだろ?」10/20 20:32
エドリック:
「学籍の事は、もう一人の学園の御大である暉堂君に聞くべきじゃないのか? 生徒会は学生生活に関する事が管轄だからなぁ…」10/20 22:56
ナレータ-:
「ぶっきらぼうに答えたエドリックに対して、ジョフロアの応対は柔らかい。フレイの来訪を見て直ぐに用意した花弁の浮かんだフレーバーディを手に、ソファーを勧める。」10/20 22:56
ジョフロア:
「どうぞ、これ。…彼は何でも知ってるでしょうから、どちらかというと先生のほうが合ってそうですね」10/20 22:57
フレイ:
「ありがとう。さすが、ジョフロア。…ジークの先生か。それも楽しそうだね。何を教えるのかが問題だ。裏の歴史とか? はは」10/20 23:16
ナレータ-:
「薔薇の香りのするお茶を手にとってフレイはジョフロアにウインクした。」10/20 23:17
フレイ:
「謎の短期留学生、なんてものいいけど。…ジークの居心地がいいようにできるといいんだけど…」10/20 23:22
ナレータ-:
「いい、を連発してフレイはエドリックに笑いかけた。」10/20 23:22
フレイ:
「あの人が居ると、ニコルが心強そうじゃないかい?」10/20 23:23
エドリック:
「そうだな。さすが舅殿という感じだ。だが、歴史の先生というより、彼らは床上手が信条だ。あんがい保健体育の先生がいいんじゃないか?」10/20 23:28
ナレータ-:
「少し離れた執務机から、エドリックが茶々を入れる。」10/20 23:28
エドリック:
「…保健室に常駐でもしたら、テクを知りたがっている生徒が列をなしたりしてな。…あ、そっちは、君も専門だったっけ、フレイ?」10/20 23:29
フレイ:
「おいおい、人聞きの悪い。私が教えるのは愛しい人だけだよ」10/20 23:31
ナレータ-:
「手で銃を作って、バンと打つ振りをしてフレイが言った。」10/20 23:33
フレイ:
「ま、そういうわけで、生徒会と理事長代理で考えてくれないかな?」10/20 23:34
エドリック:
「うっ…。殺られた。…ジョフ…手当を。優しく頼む」10/20 23:40
ナレータ-:
「エドリックはフレイには答えずに、机に突っ伏してのたうち回る。それを見て、ジョフロアがライフルを構えたような恰好で更に一発撃ち込んだ。」10/20 23:41
エドリック:
「…くそっ。留めを刺された。友達甲斐のない野郎どもだ…。パタッ… ……」10/20 23:41
ジョフロア:
「エディの言うように、生徒会はたぶん管轄外ですよ、フレイ。もちろん、短期留学生にしろなんにしろ、学籍があれば、なんでもお手伝いしますけれど…。僕が暉堂に聞いてみましょうか?」10/20 23:44
ナレータ-:
「エドリックが起き上がったら更に発砲するような仕草で、見えないライフルを構えたままジョフロアが言った。」10/20 23:46
フレイ:
「生徒会、というよりはエドリックが気を利かせてもいいんじゃないかな~って思っただけさ。なんせ舅だろ? 結局、ジョフロアの方が有能ってことで、私は結構だよ、どちらでも」10/20 23:47
エドリック:
「私は、マスオさん状態でお節介をやくつもりはないよ、フレイ。ニコルは私一人で幸せにして見せる。もちろん舅殿から要請があれば、労はいとわないがね」10/20 23:51
ナレータ-:
「まだ銃を構えた姿勢のままのジョフロアを手で制しながら、エドリックが苦々しげに言った。君こそお節介だと言いたげな目つきだ。」10/20 23:53
フレイ:
「言い訳が多いぞ、役立たず」10/20 23:56
ナレータ-:
「フレイの口元から忍び笑いが漏れる。」10/20 23:57
エドリック:
「君こそ、人を動かさずに自分で動け。何か確固たる思惑があるのならな」10/20 23:58
フレイ:
「ないない、そんなもの。思惑も信念もね」10/21 00:02
ナレータ-:
「どこかつかみ所のない笑顔と一緒にふわふわと手を振って言うと、フレイは美味しそうにお茶に口をつけた。」10/21 00:03
フレイ:
「美味しい。ジョフロアのお茶はホント一品だな」10/21 00:04
エドリック:
「そうさ。このスナイパーの淹れるお茶は最高さ」10/21 00:12
ナレータ-:
「まだ銃を構えたままのジョフロアに、エドリックは嫌味をぶつける」10/21 00:12
グラサンおにーさん:
「お誉め頂いて光栄です、フレイ」10/21 00:12
フレイ:
「何でも的を射ているってことかな? じゃ、居心地の悪い生徒会室はこれで失礼しようかな。それじゃあね、ジョフロアとやられ役の生徒会長」10/21 00:19
ナレータ-:
「カップを置くとフレイは立ち上がり、現れたときと同じように金髪を靡かせて、ふいとドアを出て行った。」10/21 00:20
エドリック:
「あいつ何を企んでいるんだ、ジョフ?」10/21 00:39
ナレータ-:
「ドアが閉まると、生徒会長の椅子にひっくり返り、開口一番エドリックがジョフロアに疑問をぶつけた。」10/21 00:39
ジョフロア:
「フレイはジークが心地よく学園に留まれるように、君に協力して欲しがってるんだと思うな。彼がエスコート部員として預っているアレクとフレイの想い出深い学園生活作りのためにも」10/21 00:40
エドリック:
「だったら、私に頼むのが筋だろうに。役立たずとか罵りやがって、人への口の聞き方も知らん奴だな」10/21 00:40
ジョフロア:
「君に借りは作りたくないんだろうね。…作ったら大変だ。彼はそれを分かっているんだよ」10/21 00:43
エドリック:
「は? 私はそんなに男気が無いか? あいつは人を見る目がないな。…というか、ジョフ! 君までそう言うのか?」10/21 00:44
ナレータ-:
「エドリックが機関銃を乱射するように、ダダダダッと言いながら、ジョフロアを追いかけ回す。真剣に物影に隠れて応戦するジョフロア。こんな光景はここでは日常茶飯事なのだが、他の生徒達はそれを知らない。この平和な光景を、うららかなお日様だけが眺めていた。」10/21 00:52
景虎:
「学籍…? あの銀色古狸のか?」10/21 01:04
ナレータ-:
「学長代理の執務室で景虎はジョフロアを振り返った。手に持っていた警備要件の書類を机に置くと腕を組んで考え込む。」10/21 01:06
景虎:
「確かに、不思議がる学生は居るだろうな。居ない筈の学生に夜な夜な繰り出されては幽霊騒動になりかねん」10/21 01:07
ナレータ-:
「ジークがそれほど一般の学生に目撃されているかどうかは不明だが、誰かと聞かれて理事長代理が答えにつまるようでは困る。」10/21 01:09
ジョフロア:
「…彼が姿を現した時のマニュアルのような文章が何かに記されていませんか? そういう状況は十分に想定される事ではあります。もしくは、あなたが新たに規定してもいいのかもしれませんが…」10/21 01:25
ナレータ-:
「フレイやエドリックの名前を出したら余計にややこしい。アレクとニコルの楽しい学園生活の件も取りあえず今は二の次だ。とにかく、学園側として不自然でないジークの存在理由の確保。それが先決だろうとジョフロアは思った。」10/21 01:25
景虎:
「たぶんないな…。物に残すより口伝だろう…。代々の理事長だけの」10/21 01:35
ナレータ-:
「眉をひそめたまま、景虎はそれきり考えて込むように沈黙してしまった。」10/21 01:36
ジョフロア:
「短期留学生というのもよさそうですね。それならエスコート部がなんとかしてくれるでしょうし…。それに、エドリックの親戚という事にしても、彼はきっと承知するだろうな…」10/21 01:45
ナレータ-:
「フレイの言った事とエドリックの顔を思い出しながら、ジョフロアが独り言のようにさりげなく口にした。」10/21 01:45
ジョフロア:
「…彼らに押しつけちゃうのは、悪いかな…」10/21 01:48
景虎:
「…とりあえず、本人に聞いてみるのがいいだろうな」10/21 07:47
ナレータ-:
「景虎にしては柔軟な意見で答えた。理事長に渡りをつけるよりはよっぽどましだと思ったのだろう。」10/21 07:48
ジョフロア:
「ええ。それがよさそうですね」10/21 13:18
ナレータ-:
「そう答えながら、ジョフロアは少しキョトンとした顔をした。一時は排斥に偏っていた景虎の寛容さが不思議でならない。ジークの中にほんの少しでも人間性を見出したからだろうか。」10/21 13:18
ジョフロア:
「じゃあ、あなたから話を。僕は管轄外ですから…」10/21 13:22
ナレータ-:
「少し難関だと思っていた話がうまく通って、ジョフロアは晴々した表情で理事長代理室を後にした。」10/21 13:23
ナレータ-:
「景虎は携帯電話を取り出すといくつかの数字を押した。少しのコールの代わりの音楽が流れた後、機嫌の良さそうな明るい声が響いて景虎はちょっと耳元から電話を放した。」10/21 13:41
景虎:
「GD。暉堂だ。お前の保護者がどこにいるか知っているか?」10/21 13:42
ナレータ-:
「ジークは神出鬼没の上に、棺おけのある部屋には多分結界が張られているらしく、人の景虎には見つけることができない。捕まえるには仲間に聞くしかない。」10/21 13:43
アレク:
「景虎君?わ~い景虎君の携帯番号ゲットだ~♪」10/21 20:12
景虎:
「……。俺の言っていることを聞いているか?」10/21 20:19
ナレータ-:
「眉間の皺を人差し指で押さえて景虎は一瞬黙った。外線電話でかければよかったと思うも後の祭りだ。」10/21 20:20
アレク:
「もちろん♪ でも、いくら聞いても教えてくれなかったじゃん今まで。で、ジークの居場所? そんなの棺桶の中でしょ。」10/21 20:24
ナレータ-:
「わかりきった回答。恐らく景虎はその先を知りたいはずだった。喜んだわりに返答の内容はそっけない。」10/21 20:31
景虎:
「棺桶のある場所に人は行けるか? 奴に用がある」10/21 20:57
ナレータ-:
「少々の苛立ちを抑えた声。」10/21 20:58
アレク:
「僕でも行けないよ。」10/21 23:42
景虎:
「行けない?」10/21 23:56
アレク:
「ジークに会うには向こうから現れるのを待つしかない、きまぐれなんだ。でも、景虎君が彼に会いたいんならメッセージを僕が送っておこうか?」10/22 00:07
ナレータ-:
「いともあっさりとアレクは言った。しかも、こちらからは会いに行けず相手の出方を待つしかないとは まるでパソコン画面のバーチャライズ世界の様だ。怪訝な顔の景虎の眉間の皺が一層深くなる」10/22 00:26
アレク:
「それ、急ぐの?」10/22 00:29
景虎:
「いや。急ぎはしない」10/22 03:37
アレク:
「わかった。じゃ、気長に待ってみて」10/22 04:10
ナレータ-:
「電話を切った瞬間、アレクは着信履歴を早速いそいそとKの欄に新規登録した。グループ分けは「お友達」。向こうがどう思っているかはこの際問題ではないらしい。しかし、今の2人の会話の内容は「面倒を起こすのが趣味」というジークの性分を存分に表すものだった。」10/22 04:20
景虎:
「……」10/22 07:46
ナレータ-:
「電話を切ってすぐに後悔の念が擡げてきた。ヴァンパイアに人間の常識は通用しない。この学園のどこかに居て、見つけることもできないやっかいな存在。望むときだけに現れてこちらの都合などお構いなしだ。とりあえず、今回は待つしかないが…とうんざりしながら、今までのように起きてこなければいいのにと心底思っていた。」10/22 07:49
ニコル:
「誰?」10/22 10:29
アレク:
「景虎君。ジークに会いたいんだって。何でだろ、聞かなかったけど。」10/22 10:31
ニコル:
「....」10/22 10:31
ナレータ-:
「相変わらず的外れなアレクの対応を横で聞きながら、それ以上に厄介な事にならなければいいが...と思う反面、つい数日前、自覚をしろ、と言った自分の言葉をどれだけこの能天気な相棒は理解しているのだろう...と思うと、おもわず大きな溜め息がニコルの口から漏れた。」10/22 10:55
アレク:
「後で2人で交流して蝶を飛ばそうか」10/22 10:55
ニコル:
「いや、その必要はない。俺がジークに直接会いに行くから。」10/22 10:57
アレク:
「あてはあるの?」10/22 10:57
ニコル:
「なければ作るさ。とにかくこの件はまかせて。それから、時間が掛かるかもしれないけど心配しないで、一人で待ってれるね?」10/22 10:58
ナレータ-:
「うん、とニコルの言葉にこくんと頷くアレク。険しかったニコルの表情が少し和らいだ。」10/22 11:03
効果音:
「R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.R.」10/23 08:47
アレク:
「早く電話に出ろよ~!景虎君」10/23 08:48
ナレータ-:
「「お友達」に晴れて登録を果たしたナンバーにコールをするが、肝心の当の相手は電話に出ない。それでもコールを鳴らし続ける。」10/23 08:50
景虎:
「しつこいぞ! GD!」10/23 08:52
ナレータ-:
「通信音が途切れたとたん、景虎の怒号が響く。」10/23 08:53
アレク:
「出た!やった~!」10/23 08:53
景虎:
「会議中だ。要件を一言で言え」10/23 08:55
アレク:
「例の伝言をジークに伝えに僕じゃなくニコルが今日向かったから。そんだけ。」10/23 08:56
ナレータ-:
「一応、一言で用件を伝える。」10/23 08:58
効果音:
「ブチッ」10/23 09:11
アレク:
「切られちゃった...でも、ちゃんと用件は伝えたもんね。」10/23 09:12
ナレータ-:
「カラフルな携帯電話をテーブルに置きながら、アレクはチョコレートを一つ口に頬張った。」10/23 11:19
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